荒野の狼

雷電の荒野の狼のレビュー・感想・評価

雷電(1959年製作の映画)
3.0
1959年の79分の白黒作品で題名は「雷電」であるが、本作終了の際に「雷電 前編 終」とテロップがでてくるように、ストーリーは完結しておらず、81分の「続・雷電」と合わせて160分の大作である。「雷電」は、雷電の青年時代からの話で、1783年に故郷の長野県の浅間山が噴火するところから映画が始まるので、年代と地名が記憶に印象付けられる。2021年に御嶽海が、長野県から227年ぶりに大関に昇進したことは記憶に新しい。他に、この「前編」に描かれていることで特筆すべきことは、1783年に天明の飢饉が発生し、一揆が発生したこと、雷電の幼名が太郎吉(たろきち)で浦風部屋に入門したこと、谷風の内弟子になったこと。
雷電役の宇津井健は、長身で細身ではあるが、青年時代の雷電ということなので適役。雷電の幼馴染のおきん(演、北沢典子)との恋愛がストーリーの主軸であるため、雷電の怪力を示すようなエピソードがないのは残念。他の出演者では、美しい姫役の小畑絹子が気品があるが、「続・雷電」と比較すると、前編はあくまで導入部という形で終了している感がある。
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