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白髪鬼のhorahukiのレビュー・感想・評価

白髪鬼(1949年製作の映画)
3.5
ドイツ表現主義×西洋ホラー×剣劇スター!

戦後チャンバラ映画が禁止された時代に製作された怪奇映画。活躍の場を奪われた剣劇スターたちが現代劇へ移行する中、時代劇のレジェンド・嵐寛寿郎が主演を務めたのが本作。ユニバーサル的な西洋ホラーを輸入し、日本を舞台にドイツ表現主義的手法を交えた怪作!!

なかなかに破茶滅茶なストーリー!
金持ちジジイと無理矢理結婚させられたヒロイン。2人の乗った車が断崖絶壁から転落してジジイは死んだのにヒロインは無傷…🙄そんでヒロインは大好きな青年画家とイチャコラ生活。地下墓地の棺からドラキュラの如く復活したジジイは、青年画家のパトロンジジイに憑依→パトロンの立場を活かしてあの手この手でヒロインと画家を別れさせて寝取ろうと必死になる…というお話。

生前のジジイさんは飼ってるオウムにヒロインの名前を覚えさせて「俺の愛情のなせる技!」とか言ってヒロインの前で披露させようとするんだけど、案の定なにも言わないオウムさんグッジョブ過ぎる!🤣とにかくヘンテコで、キャラたちの感情の変遷に全くついていけなくて笑った。ジジイ側の人が何故か急に改心して味方になったり、最後とかジジイさん自身も急に改心して「俺の呪いは敗れた」とか何か語り出すし。なんだこれ😂

棺から起き上がった姿は完全に『吸血鬼ノスフェトゥ』だし、せむし男を使役するのはドラキュラに近いものを感じた。断崖絶壁での落下に至るまではヒッチコック『断崖』から影響を受けているように思う。二重露光の幽霊演出、大きな影、揺れるカーテン、大胆な鏡像や部屋の構図、あんまり邦画を見ている感じがしなくて新鮮だった!宝石が映ったら「キラキラキラリン♫」みたいなクソダサSE合わせるのもサイコー!

生前ジジイとパトロンジジイを演じているのがアラカンで、ヒロインも一人二役、オウムまで二匹出てくるという二面性を意識した物語なのだけど、流石に支離滅裂な気がした😅ピアノに映る鏡像、青年画家の髪型の変遷にも見えていない本質的特性が見え隠れし、それ込みで愛情を持てるのか…みたいな物語にしようとした雰囲気は感じるのだけど、わけわかんない雑な脚本が堪んない謎な作品でした笑
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