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土と兵隊のすずすのレビュー・感想・評価

土と兵隊(1939年製作の映画)
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日中戦争の初期、陸軍部隊の中国での進軍を描くドキュメント風のドラマ。著名な俳優を使用せず、武器、装備すべて本物。
とてもレアな映画です。

前作『5人の斥候兵』でも陸組の協力で高評価を得ており、本作では陸軍は大協力体制。中国を舞台に、大勢のエキストラによるスケールの大きな戦場が再現されています。 

ある村(嘉善城)の占領作戦がクライマックスになり、夥しい銃弾、爆弾を使っていますが、敵の中国軍は全然、出てきません。つまり、撃っても血が出る様な残酷描写は削除の為にで、視野が一方通行になってしまうのです。

前作より以上に、物語は排除され、ドキュメンタリータッチでの生々しい戦場が再現されています。銃火器も連射銃、迫撃砲、複葉機、架橋機材(これはレアで面白い)、馬車も登場します。

ぬかるんだ泥道をグチャグチャになりながら、更新するゲートル姿の歩兵たち。雨の夜の行進の映像は光の演出が素晴らしく、とても映えています。
尖塔、寺院などのロケ地を活かした撮影は見事です。特に印象的なのが橋脚、様々な種類の橋を渡ります。

ミリタリーファンには絶賛されている様ですが、物語性の薄いの戦闘場面の連続では、ドキュメンタリーを見る方が良いとも思えてしまいます。

尚、この後、田坂具隆監督は本格的な戦意高揚映画を撮り、故郷の広島で入隊したあと、被爆されています。
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