佐藤克巳

土と兵隊の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

土と兵隊(1939年製作の映画)
5.0
この映画もGHQに押収され30分カットされた形となっていても、田坂具隆監督の渾身を込めた世界一の陸戦映画に間違いは無い。公開時キューブリック「フルメタル・ジャケット」を観た時、この映画を連想せずにはいられなかった。中国国民党軍は、コミンテルンやドイツの支援を受けた近代的兵器を備えた日本の兵力の数倍の軍事力を保持していた。日本は、上海攻略に当たり背後を突く杭州湾上陸を敢行、行軍に次ぐ行軍で、敵要塞との激しい戦闘となり、やっと落としたトーチカには敗残兵一人。アメリカもベトナム戦争で同じ憂き目にあった。ざまぁーみろ。工兵や輜重兵、軍馬や犬、猫、難民、赤ちゃんまで見逃さない戦争リアリズムに貫かれた田坂監督のまごころ籠った力作。
佐藤克巳

佐藤克巳