Melko

ヒーロー 靴をなくした天使のMelkoのレビュー・感想・評価

3.5
「俺が助けたんだと言っても、どうせ信じないだろ?」
「人格の問題さ、お前じゃ助けない。俺たちは英雄じゃない」

”I’m not a nice guy, you’re the nice guy. Now do your job. Be a hero.”

情けは人のためならず

惜しい。なんか惜しい。
納得感ある終わり方だったけど、途中のアレやコレやが納得いかず、演出も大仰にしすぎな気がして、不完全燃焼。

アマプラ100円レンタル、楽しみにしてただけに、そこまでのめり込んで見れなかったのが残念。
ジャケ写の3人含め、脇のキャストまでなかなか奮闘してたけど、もうこの作品はダスティン・ホフマンの独壇場。というか、一人相撲。
日頃の行いが悪いと、たまに良いことしたり人助けしても全然信じてもらえないの図
がほぼずーっと続く。
その、人生8割利己的なんだけど、残りの2割気まぐれな犠牲心を発揮した結果、他の人に手柄は横取りされるし、その皺寄せにより、元嫁と息子にはそっぽ向かれ、自分の手柄を主張しても誰にも信じてもらえず罵倒までされる、ダスティンホフマン演じる主人公バーニー。
ADHD/ASDタイプの人物を演じることにおいて、この人の右に出る者はいないと思う。助けを求めるケガ人を見つけても、名前を聞いて「あ、あなたは私が探してる人ではないです」って素通りしようとするんだもん笑
燃えてる飛行機を見て、助けに行こうか行かまいか一旦渋るも、悲鳴に根負けして向かったら水たまりに前から転けるし、お高い靴のこといつまでも気にしてるし。
根っからの悪い人ではないけど、融通が効かないしネチネチ小言がうるさい、非常に人間味溢れるキャラ。
そんな、この人でしか演じられないであろう良いキャラしてるだけに、彼にやっとスポットが当たり、マトモに話を聞いてもらうまで1時間半近くかかるのが、シンプルに不快…ホントに誰も彼の話を聞かない。
それがやり過ぎなぐらい悪質に聞かないってのが趣味悪いなと思ってしまった。
みんな冷たいなぁ…と。
でもホントに、日頃の行いなのよね。

バリキャリなキャスター役のジーナ・デイヴィス、冒頭玉ねぎを用いたスピーチは圧巻。なだけに、その後の演技がちょっとチープに見えてしまった。一筋縄で報われない女の役がよく似合う。

そして、出来心でついた嘘で苦悩するホームレス ババー役のアンディ・ガルシア
甘いマスクだけではない、新たな一面を見れた。

ラスト30分、バーニーとババーの命懸け(文字通り)の語り合いはドライなようでいて、本質をついてる。

役者の演技は良かっただけに、演出やBGMが過剰気味なのがもったいなかった。
特にバーニーのラストのピンチの場面、あんな大仰な音楽に画面の効果は要らんかと。

ジョーン・キューザックは髪型とメイクが変わっても、人に文句タラタラな役がホントお似合いで笑
Melko

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