KOUSAKA

マッチ工場の少女のKOUSAKAのネタバレレビュー・内容・結末

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

アキ・カウリスマキ監督の最新作『枯れ葉』がすごく良かったので、遅まきながら過去作を勉強しています。

イリスがマッチ工場に勤めているのに、アールネはライターを使ってたから「2人の相性が悪い」という事を示す象徴なのかと思っていました。でも終盤ではマッチを使っていたのを発見!もしかして上手くいくのかと思いきや、それどころか・・。

ラストはイリスが警察に連行されていくシーン、その後も工場の奥の方では男性が淡々と作業をしているところをカメラは冷徹に映し続ける。絶望的なラストでした。

今作を鑑賞して、『枯れ葉』との共通点がすごく多いなと感じました。

一庶民の男女の出会いと恋の行方を描いているという点はもちろんのこと、社会情勢を伝えるラジオ(ここでは天安門事件やホメイニ死去のニュースなど)や、工場内の労働や作業の様子を淡々と映し出すカメラ、そしてダンスホールの生演奏(『枯れ葉』ではカラオケバー)、そして突如流れるロックンロールなどなど、共通のモチーフがめちゃくちゃ多い😵勉強になりました。

類似点が多いからこそ今作が絶望的なラストを迎える一方で、一度は引退を宣言したカウリマスキ監督が作った最新作『枯れ葉』では、敢えてラストをハッピーエンドにしたというところに、カウリスマキ監督の現代社会に対する憂いの気持ちや、こうなって欲しいという祈りのような思いがより強くなっているのではとも感じました。
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