さな

マッチ工場の少女のさなのネタバレレビュー・内容・結末

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

アキ・カウリスマキ2作品目

最新作の「枯れ葉」が物凄く好きだったから、この作品もきっと好きだろうと思いながら鑑賞
最高だった、、、

序盤少し眠たくなってしまったけど、ストーリーが進み始めてからはずっと最高
セリフがあんなに無いのにずっと見入ってしまうのは何故だろう

時間経過をジュースの空き瓶で表すところや、何も言わず手を握るシーン、画角の外で起こる事故
枯れ葉でもあったなあ

セリフがない分、環境音が印象に残る
いつも音楽を聴きながら帰る帰り道を音楽無しで帰ってみたらアキ・カウリスマキの世界になった
雨上がりの地面を歩く靴音や自転車の錆びた車輪の音、車が走る音や地下鉄のしんとしているけどよく響く反響音、衣擦れ
全てが哀愁漂う、でも悲しくはなくて、寧ろ良い独りになった


イリスが何歳か分からないけど「そんなおじさんでいいの〜!?」って思ったし、「お家に呼んで親に会わせるの〜!?」って思ったし、その後のディナーでは「やっぱりな〜」って思った
あの条件で出会ったのなら、男性が言った事がセオリーなのだけれど、「これっぽっちも愛してない」って言うセリフは痛いなあと思った
でも映画を観た時以外、振られても子供を堕ろせと言われても泣かないイリスが好き
子供が出来て、めちゃだる重な手紙を書いて仕事場まで押しかけて渡すイリスが好き

最後の方殺鼠剤で殺人フィーバータイムしてる時、音楽も相まってかっこよかったしテンションが上がってしまった
実家の家の前で待ってる時お母さんが帰ってきて、何も言わず通り過ぎたかと思うとドアを開けて待ってくれているの愛だなあ、とじーんとしていたらお母さんも殺しちゃうのびっくり
その後の、悲しい音楽がかかった後イリスが曲を変えてアップテンポな曲に変えるところ大好き
最初「この子すごく不幸そうな顔してる!」と思ったけど最後まで不幸そうな顔だった
でも終盤殺鼠剤を手に入れてからは目がキマッていてかっこよかった
バーでたまたま話しかけてきた男の人の飲み物にも殺鼠剤入れちゃうの(しかも隠さず)最高にロックでかっこいい、男の人は不憫

個人的な外国のマイナーな映画あるあるで、
「終わり方どうするんだろう」って終盤になると思い始める
ちゃんとオチがあるもの、終わりかと思ったところで終わらずに「えっここ?」みたいなところで終わるもの、急に何の前触れも無く終わるもの、唐突に終わってしまうのがこわくて(同時に「なんじゃそりゃ」みたいな気分を味わいたくもある)終わり際ドキドキしたけど、枯れ葉もこの作品もいい感じに綺麗にフェードアウトして終わるところが好き

アキ・カウリスマキの映画は主人公の生き方がとても好きだ〜〜

観ながら「アキ・カウリスマキの作品、とてもとても自分好みで感性に刺さりまくるけど何故か分からないなあ。似た系統の映画でも全く面白いと感じないものもあるし、、、物凄く好きだけど言葉で説明出来ない」って思ってたけど、好きなシーンや好きな所を細々と書くことは出来る
でも「何故好きなの?」って人に問われた時に説明出来ない〜〜
言語化出来る日は来るのか
さな

さな