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マッチ工場の少女のtackyのレビュー・感想・評価

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)
4.5
カウリスマキ監督の労働三部作の第三作にして、集大成の作品。

肝心な所を観せないで、観客の頭の中に委ねる。
短いシークエンスの積み重ねによる、無駄なシーンの排除。
台詞が極端に少なく、映像で観せる。
音楽が素晴らしく、常に主人公の心情を反映する。

と言うカウリスマキ監督の特徴が最大限に活かされた作品である。特に、いつもより台詞が少なかった。

そして、その時々の音楽〔バンド演奏、ラジオ、ジューク・ボックス等〕が主人公の彼女の心情を描く。逆にエンドロールは無音なのも、素晴らしいセンスだと思う。

約70分の作品に、この主人公の孤独と、虐げられた怒りと、踏みにじられた愛とを綿密に描き、やがて破滅へと向かう物語を観せてくれた。

素晴らしい。
tacky

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