菩薩

曖・昧・Meの菩薩のレビュー・感想・評価

曖・昧・Me(1990年製作の映画)
4.3
コギャル誕生以前の17歳の肖像。マルグリット・デュラス「18歳で私は年老いた」に恐怖する少女は自ら進んで「愛人」となり、焦燥に駆られた彼女は少女である自分を殺す道を選択する。強引過ぎるイニシエーション、処女喪失の翌日に太腿に襲いかかる筋肉痛を四股で吹き飛ばそうとする裕木奈江。恋とも友情とも付かぬ曖昧な関係をも飲み込み、彼女は足早に歩を進めようとする。1990年の空気感、笑えない時代への突入を予見するWinkの無表情な微笑み(に隠れる嘲笑)。この先に「北の国から'92巣立ち」のトロ子がいるのだと思うが、それによって決定付けられたイメージに裕木奈江本人は相当苦しめられた事だろう…。これはちょっと俺の手には負えない代物なので、その筋の賢い方のご意見も聞きたい、俺の口からは「青春映画として好き」以外は恐れ多くて言えない。ピアノ連弾からのキスで悶絶する、あと喉仏のくだり。裕木奈江が初めてウリで稼いだ金で買う洋服がFFⅦのエアリスと完全に一致する、絶対元ネタこれだと思う。ブノワ・ジャコーより5年早い『シングル・ガール』、危うい傑作。
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