aruka0263

追い越し野郎のaruka0263のレビュー・感想・評価

追い越し野郎(1963年製作の映画)
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『追い越し野郎』 を初鑑賞する。これもロードムービー。イタリア南北をつなぐ高速道路網。高速道路が人々をつなぐ「みえない糸」として機能する。男ふたりが乗る車は道をゆき、様々な人たちと出会い、カメラはその肖像を映し出してゆく。個人とイタリア社会の対比。コンバーチブルの車であることでその社会という存在がいとも簡単に個人の中に入り込んでくる。スープのしみがついたシャツを着続けるモラリストの男と、愛や家族、あらゆる社会規範を馬鹿にするニヒリストの男。道をゆくにつれてその不満げな男はその規範から一歩ずつ確実に足を踏み外してゆく。人々が暮らす円環の外に完全に出た時、そこには代償が待っている。甘い生活の中に内包された苦悩。彼らに手を振る子どもとその代償から生き延びるモラリストの男。快楽の先に。
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