1950年代のローマを舞台に、作家を目指しながらもパパラッチになりさがった男の姿を描いた作品。
主人公マルチェロの頽廃的な生活を通して、生きる指針やモラルを失った現代人の生き方を映し出している。
説明が少なく難解ではあるが、この甘美なストーリーの中から本質を探るのが楽しい。
冒頭のキリスト像のシーンからいきなり印象的で、断片的に積み重ねられるエピソードはどれも奥深い意味を持っていそう。
虚栄と堕落にまみれたストーリーが美しい画面で描かれ、過酷な現実とそこからの逃避、モラルの欠如、良き時代への郷愁を見せていく。
海辺のレストランで出会う少女がこの作品で唯一の希望であり、純真な存在である。
パーソナルなドラマに秘められた壮大なテーマに圧倒される。
何度も見て、より深く理解していきたい。
マルチェロ•マストロヤンニの演技はさすが。