カッパロー

モーターサイクル・ダイアリーズのカッパローのレビュー・感想・評価

4.8
この映画が好きだ。たまらなく好きだ。

まず、旅行が好きだ。特に海外旅行が好きだ。日常から離れて、全く違う人生と空間に触れている瞬間、生きてるなって思えるから。

本作の主人公のチェゲバラも旅を楽しんでいた。はじめは純粋に、ただ旅をしたいから。ただ、銅山の夫婦に出会った頃から、彼はこの世の残酷な構造とそれにより犠牲になる人々を知覚するようになっていく。やがてそれは思想というフレームをあたえられることで、革命へと繋がっていく。


古い映像ながら、南米の景色は本当に美しかった。若々しく,乱雑ながら魅力を感じざるをえないこの二人組を忘れないだろう。


どのような人生を生きるかって,出会う人と経験によるものだと思うけど,チェ・ゲバラにとって大きな意味をもつのはこの旅だったわけで。実際には,医者から革命家という人生へと直接的に誘った人物はフィデル・カストロをはじめとして多くいたわけだが,その中核にある炎が鮮明だった。

この映画から,「視野を広げるために旅をしよう!」なんてメッセージを読みとるのはあまりにも陳腐で,そういうことじゃないと思う。僕はたまたま旅が好きだから,結果的にこの映画の事例に強く惹かれたわけだけど,別にきっかけ自体はなんでも良いはず。ただ,自分の心に強く訴えかける誰かや何かがあったときに,それに忠実になるか,あるいはその瞬間は分からなくとも後々に浮かび上がってくるように白黒写真として保存しておくべきなんだろうな,と思いました。
カッパロー

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