おおつか

モーターサイクル・ダイアリーズのおおつかのレビュー・感想・評価

-
チェ・ゲバラの放浪記『モーターサイクルダイアリーズ』を読んでいる。文体が若くて、不安定、しかし情熱的でそこにある空気を感じさせてくれる。良い。ってかこれを読むと同じ放浪記でも『オンザロード』は心情描写や構成や言葉遣いが巧みで、ケルアックが作家として卓越してるのが逆にわかる。
そもそもチェ・ゲバラの本なんて読みだしたのは思想的な理由でもなんでもなく、大好きな小説『オンザロード』の映画化作品の監督ウォルター・サレスが撮った『モーターサイクルダイアリーズ』を昨日観たから。けっこーおもしろかった。
エルネストの弱い人の味方であるっていう姿勢を純粋にかっこいいなぁと思ったけど、それと同時に自分と利益相反する弱者に対してどういうポジションを取るかっていうのはとても難しいなぁと思ったり。
革命家は当然ながら、社会的な弱者や少数派に対する暖かいまなざしをもった芸術家ってたくさんいるけど(ロバート・アルドリッチ、ダルデンヌ兄弟、ムリリョ、チャイコフスキーetc)、芸術家はプロレタリアート的だけどプロレタリアートではないし、資本家でもないから、ブルジョワ批判や権力批判って簡単じゃないか、なんて。自分みたいな搾取する側の巨大なシステムに取り込まれた矮小なプチブル的な人間がいかに弱者や少数派が絡む社会問題に対して向き合うかってことの方がヒロイックではないぶんよっぽど難しいよ、思ったり。
おおつか

おおつか