うにたべたい

ガンマー第3号/宇宙大作戦のうにたべたいのレビュー・感想・評価

4.1
東映が"海底大戦争"に続いてアメリカの映画製作会社ラム・フィルムと組んだ、日米合作の特撮映画。
監督は『宇宙からのメッセージ』の深作欣二と、仮面ライダーやゴレンジャーで著名な田口勝彦のタッグです。
スタッフは日本人が多いのですが、本作の特徴として、キャストはすべて外国人で構成されています。
外国人俳優の映画に日本語吹き替えを行っているため、東映特撮というよりも古い洋画を吹き替えで見ている気持ちになります。
作品自体も、ややチープさは感じるものの、迫り来る宇宙生命体の恐怖が描かれていて、洋画的なインパクトやメリハリのあるエンターテイメント性の高い作品でした。

タイトルの"ガンマー第3号"は、本作で舞台となる宇宙ステーションの名称です。
近未来、ガンマー第3号は地球に衝突することが予測される巨大な遊星を補足します。
フローラと名付けられたその巨大遊星を爆破するために小隊が結成され、小隊は小型ロケットでフローラへ向かいます。
本作の主人公は、このフローラへ向かった勇敢な「ジャッキ・ランキン中佐」で、命からがら爆破ミッションをやり遂げて帰還するが、クルーの服に付着したフローラの粘着物が大騒動を起こす展開です。

粘着物がエネルギーを吸収して成長し、凶暴な宇宙生命体になってガンマー第3号で暴れ出すのですが、不気味に成長する粘菌や、宇宙人によって黒焦げにされるクルーの特撮は、今見ても見劣りしないできでした。
本作は当時ちびっこ向け映画として公開されたそうなのですが、クルーが死体になる場面は子供が見たらショックを受けそうです。
ホラーというほど怖くはないですが、ガチで殺しにくるので、"宇宙大作戦"なんていう軽快なタイトルが似合うような作品でもないです。

ちなみに美人の女医がヒロイン役らしいポジションで登場しますが、子供に配慮したのか濃厚な絡みは無しです。
ロマンスが始まるかと思いきや、結局最後までランキンは女医に睨まれて終わります。
正しすぎる嫌われリーダーのランキンは反発した隊員に足を引っ張られるのですが、お構いなしに自分が正しいと思ったことを貫くランキンがかっこいいという映画です。
実際こういう男性は女性に嫌がられるものなので、当然といえば当然なのですが、ランキンがんばってるので、理解者がいてもいいんじゃないかと思いました。
自分を貫けるヤツはかっこいいが異性にモテないという現実を突きつけられる、子供向けにしては2重にショックな内容だと思います。

粘着物が成長した宇宙人の造形は結構チープで、1つ目で触手のような両手を振り回していて、かなりステキなデザインです。
ガシャポンフィギュアがあれば、複数買って窓辺に並べたいですね。
こいつが大量に襲いかかってくるのですが、むしろ可愛らしさがあって、いまいち緊迫感がなかったです。
宇宙人が殺意を持って迫ってくるかなり緊迫した状況のはずなんですけど、どこか楽しそうと感じました。

テンポも良く面白かったですが、宇宙人のデザインがチープなのと、古い子供向け特撮なので、万人向けはしないと思います。
一方で、好きな人は大好きだと思います。この手の作品が好物だという方にはおすすめの一作です。