しゃぶしゃぶ太郎

カシムザドリーム 〜チャンピオンになった少年兵〜のしゃぶしゃぶ太郎のネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ウガンダで6歳の時に学校でゲリラに拉致され、少年兵として軍事訓練されたカシム・オウマ。
8歳の時には初めて人を殺し、拷問も楽しんでやっていたという。
その後、ゲリラは政権を握り、オウマも正規軍の軍人となるが、20歳の時に気休めとしてやっていたボクシングのアマチュア大会に出場した際にアメリカに亡命。
英語も何も喋れないホームレス状態から
ボクシングジムの門を叩き、世界チャンピオンにまで登り詰める。

カシムの人生は壮絶だ
自分の過ちを後悔し、毎日祈りを捧げる。
そして、幼い頃から不安を和らげるためにマリファナを吸い続ける

カシムは自分の幸福がなにかを明確にわかっている
家族のためにボクシングをやっている、と言っていた
シンプルで力強い生き方だと思った。

拉致された少年時代に、泣いたら殺す、と言われて泣くことが出来なかったカシムが、2階級制覇出来ずに試合に敗れた際に誰にも見せないように泣いていた姿と、自分の亡命のせいで理不尽に惨殺された父親の墓の前で感情剥き出しで泣いていた姿が印象的だった

特赦でウガンダに帰ったとき、カシムの村と同じようにゲリラに襲われ、拉致や虐殺が行われた村に行くシーンがある。
その村の人たちは年に一度、悲しい記憶である虐殺を劇にして自ら演じる。
劇にしたことでやっと悲しい現実を村の人たちは話せるようになったという。
なにか様々な芸術の根源をみたような気がした。