みちろう

狩人の夜のみちろうのレビュー・感想・評価

狩人の夜(1955年製作の映画)
4.5
♪リ〜ニンオンジエバラスティンナーム

ある一家に隠された大金を盗みに伝道師を装った殺人鬼が家族に忍び寄る。

正直聞いたことない作品で昔のスリラー映画って今と比べるとしょぼいだろうからあんま期待してなかったけどこの映画は評価されてるだけあってかなり面白い。

子供vs悪党のホームアローンをちょっと思い出すストーリー、ただバチバチに戦ってたケビンと違ってこの映画の子供たちは現実と同じく無力で大人からも守ってもらえない存在。そんな彼らを追いかけるサイコパスな殺人鬼。これは子供達の目線で見るとめっちゃ怖く緊張感で常にハラハラドキドキ。だけど子供達のファンタジー的な楽しい展開もあったりする。

ロバートミッチャムが演じた悪役の男が何といっても強烈。キリストの言葉を巧みに使い市民の信頼を得ていくカリスマ性と目的のためなら女子供構わず殺そうとする残忍性を持ち、ジリジリと心理的に追い込んできたと思えば理性を失い奇声を挙げて追いかけるフィジカルな怖さも出してきたりと悪役としては100点と言ってもいい存在感と演技。

この映画、ストーリーや登場人物のキャラクターといった基本的な部分に加えて凝った演出やカメラワークなど市民ケーンみたいに色んな技術を駆使したのが伝わってくるクリエイティブなとこがとにかくすごかった。照明やら登場人物の映し方、劇中で歌われる民謡、キリスト教の宗教要素などを取り入れることで仕上がったおとぎ話みたいな独特の作風も併せて他の白黒クラシック映画とは一味違う。

時代とか関係なく語り継がれる名作って感じのクオリティ。この監督の映画を他にも観てみたかった。もっと公開当初から評価されてれば…、残念。
みちろう

みちろう