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狩人の夜ののんchanのレビュー・感想・評価

狩人の夜(1955年製作の映画)
4.1
思いがけずに出会えた傑作フィルムノワール。
チャールズ・ロートン監督は、この作品の2年後の『情婦』で老弁護士をお茶目に演じていますが、監督の才能も優れていたのですね。
当初は興行的に失敗したらしいけど、その後、後続の監督(デヴィッド・リンチ、マーティン・スコセッシ、ブライアン・デ・パルマ、スパイク・リー、コーエン兄弟など)に強烈な影響を与えている奇跡的な名作です、素晴らしかった。


偽伝道師で殺人鬼のハリー・パウエル(ロバート・ミッチャム)がまだ小さな兄妹を執拗に追いかけ、隠しているであろう大金を見つけ出そうとする話。


銀行強盗をして2人を殺してしまった父親ベンが息子と娘に「1万ドルを隠せ。妹を命懸けで守れ。母親に金のことは内緒」と言いおき警察に捕らえられる。その後死刑執行。

刑務所でベンと同房だったハリーが、ベンの寝言から子供たちが大金を隠し持っているとにらみ、出所後に一家に近付いてくる。
ベンの妻を騙して再婚するが邪魔となり殺害。子供たちだけで逃避行するが、そこにまた現れるハリー。


子供2人がメインとなる。イケメン兄とお人形のような妹。
2人が小舟で川下りするのだが、なんとも気の毒でいじらしい。
そこはまるでお伽話の中にいるような錯覚になる。その光景は月明かりが水面に映り、風がそよぎ、動物たちが佇む。自然を巧みに演出する映像美に酔いしれます。

2人が行き着いた先は、信仰心があり憐れみ深い老婦人レイチェル(リリアン・ギッシュ)だった。


ロバート・ミッチャムの怪演。
リリアン・ギッシュの存在感。
子役の可愛らしさ。

スリリングな物語展開と幻想的なお伽話風が相まっていて、なんとも不思議。しかしずっと心に残るであろう良質のサイコスリラー+ヒューマンドラマとなっていました。


余計なことかもですが...
ロートン監督は子供が苦手で、子供の扱いを軽視していたので、3人の子持ちのロバート・ミッチャムが子供のシーンはほとんど演出したんだとか?
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