すずす

狩人の夜のすずすのネタバレレビュー・内容・結末

狩人の夜(1955年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

俳優チャールズ・ロートンが唯一監督した
傑作フィルム・ノワール。才能を認められながら、これしか撮れなかったのは残念でなりません。

以下は物語。

大恐慌のウエスト・バージニア州のオハイオ川流域。一家の父ベンは強盗殺人を犯し、逮捕されるが、逮捕直前に息子ジョンに1万ドルを託していた。
刑務所でベンと知り合いになったハリー(ロバート・ミッチャム)はベンが1万ドルを隠しているを知る。
女性蔑視の似非牧師で、旅をしながら詐欺紛いで生きているハリーは弁がたった。ベンの町を訪れ、言葉巧みに町の人々と交流し、やがてはベンの妻(シェリー・ウィンタース)とも親しくなっていく。
ベンの息子ジョンは父から誰にも云うなと口止めされているが、ハリーはジワジワ彼に迫る。金は妹パールが肌身離さず持っている熊のぬいぐるみに入っている。
遂にハリーは妻を殺害、ジョンはパールを連れ、家を脱出し、オハイオ川を小舟で下っていく。ハリーは足跡を辿り、馬に乗って追いかけてくる。
数日後、ジョンとパールは風変わりなレイチェル(リリアン・ギッシュ)に助けられます。彼女は身寄りのない子供を育てており、2人も預かることにします。
しかし、ハリーの出現で、穏やかな日々は直ぐに終わりを告げますが--------

何と云っても、魅力はリリアン・ギッシュの再生、ロバート・ミッチャム、シェリー・ウィンタースの存在感等、配役の妙だと思います。

ロートンの演出は、彼の陰気と陽気の混じった芝居と違い、陰気で強面です。
シルエットの多様、
ペテン師ハリーの指に描かれるLOVE & HATE の不気味な文字、
フクロウや小動物のカットの挿入、
禍々しさに溢れています。
しかし、子供や田舎街の人々が、ほのかな温かみを放っています。このバランスも好きです。

字幕翻訳:林完治
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