大傑作だと思う。
冒頭からエリック・ゴーティエの官能的で荒々しい撮影によって男女の逢瀬が描かれる。もうあっという間に映画の虜になる。
何故2人が出会ったかはほとんど提示されず、2人の関係の変化だけに焦点が当てられる。最初はそのせいで入り込めないところもあったが、この選択は非常にいいと思う。
何故この2人がここまでの仲になったのかを観客が能動的に感じ取っていかなければならないので、2人に感情をひたすら持っていかれるし、彼らの一挙手一投足に集中できる。
セックスシーンが何より本当に良いなぁと思う。セックスがなくてはならないものである、2人にとって、ひいては人間にとって大切な行為である、ということをこの映画から感じ取れる。
『湖の見知らぬ男』を観た時も感じたが、そういう感覚で描いてくれるととても好感を持てる。
『哀れなるものたち』で1番腑に落ちなかった部分はこういうところだと思う。滑稽な行為なんかじゃないんだぞと言いたい。あの映画では猿みたいな描写のされ方がして本当に嫌だった。
他の映画の言及になってしまったけど、とりあえずめちゃくちゃおもしろかったし、めちゃくちゃ胸を締め付けられた。
何度も繰り返し鑑賞したいと思う。