プリオ

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人のプリオのレビュー・感想・評価

5.0
3年生になった、ハリーはシリウスブラックという殺人鬼が脱獄したことを知る。ホグワーツ魔法学校での生活が始まる中、シリウスブラックの影が忍び寄る。

主人公達はいきなり大きくなり、前作までの子供向けのファンタジー感が薄まり、ちょっと大人びたダークさが良い。

ハーマイオニーは、もうほぼ大人の女性。ただ、どこか少しだけ子供らしさが残っているところがミソ。この時しか撮れないハーマイオニーが画面内に存在していて愛しくて切ない。

ハリーポッターのすごいところは、役者の成長に合わせて撮影したところ。しかも、主要キャストは十年変わらず。これは、本当に奇跡だと思う。

今作はハリーポッターシリーズの中でも「謎のプリンス」と並んで地味。新キャラも動物はバックビークくらいで、あとはシリウス、ルーピン、ピーターなど、人物が多めだ。

人間ドラマがメインだからこそ、監督を変えて、1、2作とはテイストをガラッと変えた印象もある。

今作は微妙な心理描写を台詞ではなく、動きのある演技で表現しているところが特徴的。あとカット割少なめで、役者の演技をちゃんと見せてくれたのも良かった。主演三人は肩の力が抜けた演技をしてたし、演劇チックなシーンもちらほら。そうすることで、キャラの生感が伝わってくるし、見ていて単純に面白い。やっぱり映画ってキャラひいては役者の感情の機微がわかる方がいい。こういった繊細な感情描写が「不死鳥の騎士団」以降あまり感じられないのが残念なところだ。

ハーマイオニーがロンのことをロナルドって言ったり、制服ではなく私服を着るようになったりと、青春ドラマとしてのカジュアル感もとっても好き。

ストーリーは、時間を操作する展開になるので話がやや複雑になるが、驚きの展開や伏線回収がうまい。 

そしてシリーズ全体を通しても142分というコンパクトな上映時間。かといって、詰め込んだ感は一切なく、なんならゆとりや遊びのある作品になっている。でもそういった遊び心あるシーンが1番見たい部分でもあり大事なシーンだったりするから、無駄なシーンは一切ない素晴らしいプロットになっている。

あと、今作はヴォルデモートが絡んでこない唯一の作品としても貴重である。


○好きなシーン
・「叫びの館」の一連のシーン
演劇を見ているかのようにしっかり見せるが、全く退屈しない。

・ホグワーツ特急にディメンターが現れるシーン
気味悪さと緊張感

・ハリーの「エクスペクトパトローナム!」
シリーズを通して、一番好きなシーン


僕の中ではこの「アズカバン」が映画シリーズの中で最高傑作ですね。
プリオ

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