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沈黙 SILENCEのJMのレビュー・感想・評価

沈黙 SILENCE(1971年製作の映画)
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スコセッシ版より、こちらの方がいい。

遠藤本人が脚本をやっているだけあり、遠藤周作のテーマがクライマックスに貫かれるようになっている。

ラストも悪くない。スコセッシ版より遥かにいい。


スコセッシ版は、スコセッシの信仰告白にしかなっていない。ロドリゴの一人称を過度に強くしすぎてはいけない。心に聞こえるキリストの声を入れてはいけない。最後に十字架など、要らない。
それは結局、この物語を、形としてのイエスを否定/受容という、浅いレベルの物語にとどめることである。
ロドリゴは、イエスを形として踏み絵によって拒否したが、全的にキリスト教を否定した生き方を受け入れることによって、逆説的に形ではなく存在として、自己を磔にすることによって存在として、キリスト教ではなくイエスを生きる。
それを表現するには、ラストはこっちの方がいい。明らかにいい。(ただ、ヤケクソ感が出てるので、それが違う。もうワンシーン要る。)
スコセッシ版は、欧米的一神教の教えを結局出ることはなく、深みに到達していない。
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