遠藤周作の原作を読み終えたタイミングで篠田正浩監督版を鑑賞。
特に後半、パードレ・ロドリゴが奉行所に捕らえられた後の台詞回し等は、一部のオリジナル描写を差し込んでいるもののスコセッシ版以上に原作に忠実だったと感じさせられました。この点は、日本語を軸に展開した本作ならではの強みであったかと。
印象的だったのは、本作のオリジナル描写として、裏切る行為を繰り返すキチジローの苦悩を何度も伝えていた点です。
弾圧が厳しい時代を生きていること、裏切る心弱きものである自分に対する行き場の無い感情を表現していたのは本作の製作に携わっていた原作者・遠藤氏の思いも込められていたのかもと考えておりました。
モキチやジイサマのように殉教した篤き信仰者よりも、キチジローをはじめとする様々な背景で棄教していった立場に寄り添う作品であることを改めて確認させられる映画でした。原作を一読してからの鑑賞をオススメします。