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「黒猫・白猫」
ドナウ川のほとりに暮らすおっちょこちょいのちょい悪人間マトゥコと息子のザーレ。ザーレは破天荒な年上美女イダに恋しているが、ギャングのダダンに借金があるマトゥコは、ダダンから妹とザーレの結婚を持ちかけられて…
一癖ふた癖ある登場人物たちが織りなすてんやわんやの大騒ぎ。1998年、仏・独・斬。
1995年の「アンダーグラウンド」で有名な、ユーゴスラビアの映画監督エミール・クストリッツァが描く陽気なはちゃめちゃコメディ。
ジャケットからは想像できない面白さ。善人も悪人もとにかく笑っとこう!踊っとこう!って映画です。
まるでお祭りのような映画でした。音楽もいいし、ガラクタばかりの風景にも心躍りますね。現実離れしていようがあほくさかろうが、ちっとも気になりません。
これはマイナーな良作。ほんとに面白いと思うので、観てないフォロワーさんには観ていただきたいです。おすすめ。
ダダンがとにかく強烈。好きじゃないけど、強烈。あの風貌、あの動き、あのキャラクター。これ生み出した人天才です。もちろんゴッドファーザーも、オジイちゃんも、脇役がほんと素晴らしい個性派揃いで主人公父子のキャラの薄さが心配ですが。
そして私がお気に入りなのは、なんと言っても作品の随所に映画への愛が溢れているところです。
「カサブランカ」のラストへの敬愛、そして「メリー・ポピンズ」へのオマージュなどもあるのだけど、正確に再現するわけではなくて、その愛の表現はどこか皮肉で、風刺していて、笑えてくる。クストリッツァ風に仕上げてくるからとても観ていて楽しい。
なにかの恋愛映画を彷彿とさせるようなひまわり畑のシーンもとくに大好きで、だけどそのシーンすらもクストリッツァが描くとただの恋愛シーンには終わらせない(笑)
これはとにかくおすすめです。映画好きな人なら観るべき、クストリッツァの世界に浸ってクストリッツァの天才ぶりを堪能すべきと思います。