アニマル泉

血涙の志士のアニマル泉のレビュー・感想・評価

血涙の志士(1928年製作の映画)
4.1
フォードのウィリアム・フォックス社のサイレント映画。サウンド版の上映。「火」が主題だ。オブライエン死刑執行人(ホバート・ボズワース)の幻影で暖炉の火に絞死刑にされた人々の苦悩や恨みの顔が浮かぶ。そして怯えるオブライエンの顔を暖炉の火ごしで捉える!フォードでこういうトリッキーなアングルショットは珍しい。オブライエンの死は暖炉を見つめる横からのロングショットで、身体にでデフォーカスがかかって杖を握りしめる手だけが強調され、その手がダラリとなる、というショットで表現している。ラストの館の大火が「火」の主題のクライマックスだ。建物が崩壊して悪者ダーシー(アール・フォックス)も落下する。
フォードならではの「犬」が活躍する。あとは「馬」だ。競馬の場面は騎手のアップを入れたり盛り上がりに工夫している。優勝馬が撃ち殺されるのは衝撃だった。
フォードはメロドラマが上手い。本作のラブシーンはコノート(ジューン・コリアー)とダーモット(ラリー・ケント)が対角線で見つめ合うツーアップが多用される。
乾杯したらトラックバック、強調のトラックインなど若々しい技法も試している。
「投げる」主題は、鏡に窓から覗くホーガン(ヴィクター・マクラグレン)の顔が写り、ダーシーが振り向きざまに酒瓶を投げて窓が割れる場面が強烈だ。
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