プロダクションコード、いわゆるヘイズ・コード緩和の契機となった問題になったというこの作品。
二話構成になっており、どちらもアンナ・マニャーニが主人公を演じている。
第一話『人間の声』
男からの電話をひたすら待つ女。
電話で女が話しているシーンが大半を占める。それ以外のシーンは電話を待つ、ブツブツ話しながら焦燥している彼女の様子がほとんどである。
ヒロインの表情の変化で、彼女の精神不安定ぶりがよくわかる。
全く変わりばえのしない画面に、少し飽きてしまったが、派手なストーリーの「裏」になりうるこのテーマに焦点を当てるという挑戦ぶりにあっぱれである。
第二話『奇蹟』
あのフェリーニがなんと俳優として出演している。
彼はロッセリーニ作品ではよく脚本を手がけており、今作でもそうである。
こちらの話でプロダクションコード違反になったのかもしれないが、正直そこまでというか全く直接的な描写でないので何故?という感想である。
運命を狂わされても、人々から蔑まれても、力強く生きる女性の姿と厳しい世の中に心苦しくなる。
どちらも全体的に盛り上がりにかけるため、あまり集中しきれなかった。
しかし特に第一話の面白い設定と、アンナ・マニャーニの演技を楽しむことができた。