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コンスタンスのakrutmのレビュー・感想・評価

コンスタンス(1980年製作の映画)
3.6
共産党が支配するポーランドを舞台に、電気技師の若い男性が理不尽な母の死や上司の腐敗に向き合いながら過ごす日々を描いた、クシシュトフ・ザヌッシ監督のドラマ映画。1980年のカンヌ国際映画祭では審査員特別賞を受賞している。

基本的に主人公の言動を描くことに力点を置いているので、ストーリーの背景がはっきりと語られず、この時代のポーランド社会の雰囲気が実感できない私のような鑑賞者にとっては理解しにくい。それでも、母が入院した病院で賄賂を渡さなければ医師はろくに治療もしなかったり、上司の腐敗を指摘しようとしたら圧力がかかるといったエピソードを通じて、この時代の生きづらさが淡々と表現されている。道徳観が強い主人公が、飄々としながらも、そんな社会に苦悩する姿が印象的であり、本作の見どころであろう。

・主人公を演じたタデウシュ・ブラデッキの雰囲気が、どことなく仲代達矢に似ていた。

・両親の「死」が主人公の心情に大きく影響していることを印象づける、仕事で訪れたインドで主人公が火葬の現場に出会うシーンが印象的。火葬されている遺体も映っているが、本当に火葬している(つまり実際の火葬の現場の)ように見える。

・父親がヒマラヤを登山中に命を落としたというエピソードと関係するのだろうが、唐突におとずれるラストシーンの解釈が難しい。主人公は落ちたのだろうか?
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