一人旅

征服者の一人旅のレビュー・感想・評価

征服者(1955年製作の映画)
3.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
ディック・パウエル監督作。

モンゴル帝国の初代皇帝:チンギス・カン(1162-1227)の半生を、RKOを買収したハワード・ヒューズ製作により映画化したハリウッド映画で、ジョン・ウェインがモンゴル族を率いる、のちのチンギス・カン=テムジンを演じます。

多くの民族が群雄割拠していた12世紀のゴビ砂漠でモンゴル族を率いる首長のテムジンが、宿敵タタル人を制圧して覇権の道を切り拓いていくまでの波乱の道のりを、史実と創作をない交ぜにして描いていく歴史活劇で、タタル王の王女であるヒロイン:ボータイとテムジンの敵対する民族同士による禁断のロマンスを物語に絡めています。

ジョン・ウェインがテムジン役に起用されていますが、これが明らかなミスキャストで、黒の付け髭でアジア人感を多少演出してはいますが、私たち日本人が想像するテムジンの風貌(教科書でお馴染み)とは似ても似つかない仕上がりとなっています。相手役のスーザン・ヘイワードも同様で、全くアジア系には見えないですし、作品の世界観もアジア的というよりアラブ的な薫りが立ち込めているので、油断すると本作がチンギス・カンの物語であることを忘れそうになります。

それでも、エキストラを多数動員した両軍激突ではスペクタクルな映像を堪能できますし、忠誠と裏切り、信頼と不信、憎悪と愛情が濃密に絡み合うドラマティックな群像ドラマにも見入ることができます。

蛇足)
本作の撮影がネバダ州の核実験場の近辺で行われたため、主演のジョン・ウェインを始め多くの役者達が被曝による癌で死亡したと噂されています(真偽は不明)。
一人旅

一人旅