主人公の女性スジョン(イ・ウンジュ)はTV局の構成作家で、映画の準備を監督であるヨンス(ムン・ソングン)としている。ヨンスにはこの映画を制作する資金が足りず、後輩で画廊経営者であるジェフンに資金提供をお願いしようと久々の再会を果たすのだが、ジェフンは初めて会ったスジョンに恋をしてしまう。映画は冒頭、スジョンをホテルで待つジェフンの様子を描く。ジェフンは既にホテルに着き、彼女の到着を待っているのだが、スジョンの方は体調不良で今度にして欲しいと土壇場でキャンセルする。この時の時制は現代であり、たった今実際に起きている出来事なのだが、映画はここで一転して過去へ飛び、三角関係の出会いから順番に描きながら現在へと向かう。画面には丁寧に1から7の数字が振ってあり、細切れになったシークエンスの中にサブ・タイトルが振ってある。

　中盤、映画の開巻からちょうど半分を折り返すあたりで、映画は数字の振ってある過去から現在までの流れを別の視点で始めから繰り返す。具体的に言うと1から7まで進行した物語が、また1へと戻る。つまりここではオープニング・シーンから中盤までの流れとは別の視点で、同じ出来事を振り返っている。オープニングから中盤までの物語をAとし、中盤からラストまでの物語をBとすれば、AとBの間では画廊、手袋、プロデューサーとのいさかい、夜の徘徊、ホテルでの部屋呑みの場面など同じシークエンスを繰り返しているのだが、そこで交わされる会話や女性側の性格がまるで違う。処女作『豚が井戸に落ちた日』でも『カンウォンドの恋』でも、まったく異なるように見えた物語が最終的に一つの物語に帰結する独特の演出をしていたが、その手法を今作では完全に自家薬篭中のものとしている。

　Aでは簡単に言えば彼女は貞操を守ろうとし、ジェフンの熱烈なアタックを拒み続けながら、最後には男と距離を置こうとしている。スジョンの性格も非常に控えめで、古い貞操観念を大切にしている。Bでは処女だった女がジェフンの猛烈なアタックを受け止める。同時に彼女に好意を寄せていた映画監督であるヨンスのアタックを拒み続ける。スジョンの性格は性に対して積極的で、2人の男の間を行ったり来たりしている。これは簡単に言えば、AとBの反復と差異、男女の微妙な記憶違いの中から、男女の気持ちの揺れや処女喪失までの物語を強引に描いたホン・サンスのユーモラスなラブ・ストーリーなのである。Aでは男は先輩である映画監督の器量に失望し、恋の行方もままならなかったジェフンが、Bではセックスの際に別の女性の名前を呼んだところからスジョンの怒りを買うが、最後は力づくでスジョンとの恋愛を成就させる。今作でヒロインを演じたイ・ウンジュはこの後、自宅マンションで首をつり、24年の短過ぎる生涯に幕を閉じた。

■作家主義ホン・サンス監督〜🎬■
　
　
韓国のエリック・ロメールと言われる、サン・ホンス監督。
　
男女それぞれの記憶をもとに、出会いからセックスに至るまでの心情と行動をモノクロ映像で描いた長編第3作。
　
『羅生門効果』を使って男女双方の見方の違いを描いている。
　
　
　
✔︎画廊を経営するキム・ジェフン（男）
✔︎構成作家のヤン・スジョン（女）
✔︎テレビ番組のディレクターのクォン・ヨンス（男の上司）
　
　
３角関係。
　
ジェフンから見た恋愛の見解は、スジョンが性行為をなかなか許してくれず、ジレンマに陥る様子が描かれている。
　
スジョンから見た恋愛の見解は、ジェフンから見た見解よりも積極的。
　
　
ジェフンから見た見解には上司のヨンスは入っていない、笑
　
スジョンが妻帯者であるヨンスのことが好きで、関係を持とうとしていたことは、ジェフンには知られていないようだ、笑
　
　
私は女性だからかな〜
女性であるスジョンから見た見解の方がしっくりきたな〜
　
　
　

■イ・ウンジュ氏の死■
　
　
スジョンを演じたイ・ウンジュ氏。
可愛い女優さんだな〜と思いながら見ていました〜♡
　
この映画公開の5年後に自ら命を断たれたのですね…。
享年24歳。
　
映画『スカーレットレター』にて、ベッドシーンの強制→不眠→抑鬱状態だったようです。
　
　

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パートナーさえ見つかれば、万事思い通り

「秘密」の関係は燃える。
ある約束の日までの出来事をそれぞれの視点で紡ぐ展開。
数字が見るものをガイドしていく。
同じセリフと違うシュチュエーションの反復。
主観で捉えた振る舞いと、客観的な見え方は大いに異なって、男女でも印象強い出来事には差が出る。
「教育して、捕まえる」スジョンの置かれた環境が垣間見えた時、少しゾッとした。
もしかして意図的にホン・サンスはそう見せた？
なにより、はたまた性欲は忍耐で制欲できるのか。笑

***
あるホテルの一室。画廊を経営する男は恋人を待っている。しかしその恋人は自宅にいた。二人は、その日まで共にした時間を各々振り返っていく。

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