普通評価3.5。
岡田茉莉子、吉田喜重ファンには怒られそうなレビューになってます。お許し下さい。
テーマは「女の心にはいつも満たされないみづうみがある」だそうだ。
確かにみづうみは出てこないから、題名どおりなんだろう。
吉田喜重と岡田茉莉子のコンビの最高峰の映画との評価もある。
岡田茉莉子は吉田喜重の最高傑作と言われている「秋津温泉」を撮ったことで満足し、引退を考えていたらしいが、吉田喜重に説得され女優を続けることを決意、2年後吉田喜重と結婚している。
吉田喜重は大島渚らとともに「松竹ヌーベルバーグ」の旗手と言われ前衛的な映画を撮っている。この作品もその匂いが強い。
しかし、今見るとそれが鼻につく。
面白いかと言われれば、全く面白くない。女の心の話だし、満たされない心と体は燃え上がる瞬間を求めて彷徨うストーリーだが、それについて行けないのだ。
確かに夫の芦田伸介は全く彼女を満足させる努力をしていないし、死人にしか見えないので、彼女が日常生活に不満を持つのは当たり前だと思う。
しかし、一般の奥様方もこれと同じと考えるなら、それはどうかと思うのだけど。
この夫以外の男達もわけがわからない連中ばかり。愛人の早川保は愛してるを連発するが口ばかり、とてもそう見えない。写真を盗んで彼女に近づこうとする露口茂。この男は一体なんなんだという感じ。これだと彼女が満たされるわけがないと思う。
一般に川端康成の小説はストーリーが全く面白くない。この映画なんかその典型のようなものだ。
さて、それでは肝心の主演岡田茉莉子はどうか?
この映画の岡田茉莉子は綺麗だとの評価が高く、夫の吉田喜重が撮ってるのだから、一番綺麗なところを撮ってるはず、そう思って観た。
確かにモノトーンの映像は最初から最後まで岡田茉莉子の美を追いかけているような気持ちになるが、残念ながら私はタイプではなかった。
私は誘われても彼女と浮気はしないだろう。(もちろん誘われるはずもないが💦)
そう思うと、あまりタイプではない美人のPVを見ているようなもので、それ以外いいところは見つからなかったということになる。
それにしてもこの頃の日本映画のキス、抱擁、ベッドシーン、つまりラブシーンなのだが、下手くそだなあ。
#1392 2023年 424本 松竹映画
監督・脚本:吉田喜重
脚色:石堂淑朗、大野靖子
原作:川端康成