ひ

ドリームガールズのひのネタバレレビュー・内容・結末

ドリームガールズ(2006年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

全員が見事にこの上なく素晴らしく歌が激うま。エディ・マーフィがあんなに歌上手いのびっくりした。観た後YouTubeで探してランニング中ずっと聞いてた。

話としてはそこまで目新しさはないものの音楽と歌唱力を楽しむものとしては充分過ぎる出来だった。だからミュージカル向きだと思うし、ミュージカルで観た方が圧倒されるものがあるのかもとも思った。このキャストに勝るものはないけど。

そりゃビヨンセはスタイルも良いし、他人種から見ても超美人だし、外見が圧倒的に強いけど、言うてあのビヨンセなんですよ。歌普通にめっちゃ上手いんですわ笑 ジェニファー・ハドソンに比べたらパンチは弱いかもだけど、決して顔要員でそこにいる訳ではない素晴らしい歌声を確かに持っていた。listenなんて本家初めて聞いたけど、ディーナの自分はお人形ではない、自分がやりたいことをやるんだっていう強い気持ちが伝わってきて、誰が歌うよりも上手く感じた。

綺麗だから白人市場に向けて売り出していくために顔要員としてセンターにチェンジされたのもわからないではないし、そこの描写はリアルだなと思ったけど。

と歌唱力ばっかりに感動してその感想ばっかり書き連ねてきたけど、話自体にもメッセージは込められていたと思う。

白人はすぐパクりやがるみたいに言っていたけど、結局黒人の自分らも売れたら同じことをしてるのは皮肉だった。人種がそうさせているのではなくカーストのようなもので、業界自体が強いものが弱いものを食いつぶしていく構造だということ。

今も(と言うより今の方がより)黒人の方々に強く残る白人コンプみたいなものが色濃く反映され、白人をとにかく悪く描いてやりたいみたいな展開にはなっていなくて良かった。

カーティス自身売れていったら、黒人特有のサウンドではなく白人受けするような音楽を作るようになっていき、いつのまにか白人と同質化することを目指していた。ディーナにもクレオパトラ役をやらせようとしていて、むしろその白人コンプ自体が描かれていたと思う。

差別されていた側が力を持つようになって差別する側に回って同じように振る舞うようになる、ありがちな社会構造への皮肉として描かれていたのはある意味公平な視点で作られているなと思った。

対比として最初から自分に対する尊厳を大切にしてきたエフィと、カーティスからの自立・独立を目指すようになったディーナはタイトルの通りドリームガールズであり、最後"ドリーム・ガールズ"のパフォーマンスで終わるところもよくできていた。最初の"ドリーム・ガールズ"とは違う意味や思いの込められた"ドリーム・ガールズ"で幕を閉じるのは感動だった。

最後にずっと気になってたことだけど、これ誰が主演なんですかね。カーティスなの?エフィが主人公なのかと思ってたけどそれにしてはエフィ軸ではないし。
ひ