素敵な歌と舟はゆくのeknのネタバレレビュー・内容・結末

大傑作。ルノワール的な人間讃歌。
富裕/貧困の階層社会に暮らす人々が、鉄道模型やグラスを動かす水平の円環、屋敷の外壁やロッククライミングの垂直運動、流麗なカメラワークによって繋がる気持ちよさ。
画面を占領するパーティを闊歩する怪鳥→街中を走る黒塗り大型バイクのバトンタッチも面白い。
父親の射的趣味は母親が乗るヘリを撃ち落とす、謂わば殺人願望に見えるし、ガス漏れ事故を装った殺人、強盗、浮気、詐欺が横行するのにどこか｢ほんわか｣した雰囲気の映画に締まったのは、父親と浮浪者の友情が続いていたことが明らかになり、長男と友人の分断に希望を持ってしまったからだろうか。仲直りして欲しいね。