ShinMakita

ボディ・ダブルのShinMakitaのレビュー・感想・評価

ボディ・ダブル(1984年製作の映画)
1.6
「女性を撮影するのも女性を追いかけるのも好きだ。しかし、でっかいドリルで殺すシーンを撮ったら、女性団体からやたらと非難されたよ」(byデパルマ)



売れない役者のジェイク・スカリー。やっと射止めた「吸血鬼のキス」主役の座も、棺桶から飛び出すシーンで身動きが出来なくなり、クビになりそうになる。ジェイクは閉所恐怖症だったのだ。撮影は中止となり、スゴスゴと自宅に帰るジェイク。だが帰って目に飛び込んで来たのは、同棲してる彼女が、他の男に抱かれて喘ぐ姿だった。打ちのめされて部屋を飛び出した彼には、行く所がない。気晴らしで舞台のオーディションに出かけるが、そこで役者仲間のサムに話かけられ、意気投合する。ジェイクの境遇に同情したサムは、友人のセレブが持っている高層アパートの鍵を差し出してきた。友人がしばらく部屋を空けるので、留守番役を探していたのだ、と言う。住む所を失ったジェイクには、全くありがたい話。さっそく、夜からこの高層アパートに住むことになる。サムは今夜から芝居旅行に出かけるので、ジェイクは一人でこの豪奢な部屋を占領できる。しかも、サムの情報によると、窓辺の望遠鏡で決まった時間にお向かいさんを覗くと、<お楽しみ>があるらしい。ジェイクは言われた通りお向かいさんにレンズを合わせる。すると、向かいの二階・寝室で、黒髪の美女が着替えながらストリップダンスに興じているではないか!おまけにベッドに横になり、脚を広げてオナニーショー・・・生唾を呑み込んだジェイクは、翌晩も、その次の晩も、彼女の媚態に胸ときめかせてしまうのだった。

引っ越しして三日目の朝。ジェイクはお向かいさんの前を通りかかった時、<彼女>がベンツに乗って外出する場面に遭遇。興味を覚え、尾行してしまう。<彼女>はモールで買い物をし、やがて、海岸にたつモーテルに部屋をとった。ジェイクはそこまで尾けながら、自分以外にも<彼女>を尾行する大柄のインディアンに気付いた。インディアンは、<彼女>の隙をついてハンドバックをひったくってしまう。ジェイクはインディアンを追跡するが、逃してしまった。だがこれをキッカケに、<彼女>と話をすることが出来た。名はグロリア・ルベールというらしい。電話番号を交換し、たちまち恋に落ちてしまうジェイクだった。

その夜、ひったくりにあったことで警察の護衛付きで帰宅したグロリア。ジェイクは懲りずにその様子を望遠鏡で覗いている。今夜もまた、あのショーが観られるかな・・・知り合いになった事だし。今度は実際にエッチも出来るかも・・・あらぬ妄想を抱きながらレンズを覗くジェイク。だが彼は、期待を裏切るような、とんでもない出来事を目撃してしまうのだ。護衛を帰して、一人寝室に入ったグロリアに、潜んでいたあのインディアンが襲いかかったのである! 慌てて部屋を飛び出し、向かいの家に走ったジェイク。だが、到着したときは既に遅く、グロリアが血まみれで殺されていた
・・・




「ボディ・ダブル」


ミステリとしては犯人の動機や手口がハッキリしないまま終わってしまい、実は駄作の部類です(苦笑)。
彼の「裏窓」&「めまい」に対する偏愛が最もストレートに出た作品と言えるでしょうね。なんせ丸パクリですから。しかもデ・パルマ・タッチが薄いのも特徴です。スプリットイメージは皆無、天井俯瞰も一人称カメラも目立ちません。尾行の長回しと、ひったくり後のジェイク&グロリアの周囲を回る360度カメラは、まさにデ・パルマ・タッチでしたけど・・・

思うのですが、80年代という時代の流れに、つい、なびいてしまった結果なのではないでしょうかね。いきなりMVみたいなシーンもあるし、「デ・パルマ・タッチは時代遅れ」、「やはりハッピーエンドじゃなきゃ」という間違った考えで撮ったとしか思えないんですよね。インタビュー映画「デ・パルマ」では、案外気に入っているような口ぶりでしたが(苦笑)
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