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もどり川のblacknessfallのレビュー・感想・評価

もどり川(1983年製作の映画)
3.2
「不逞鮮人や主義者が放火して女の鮮人は井戸に毒を投げ込んでだよ」
「おい貴様、住職、氏名、職業を言ってみろよ!」
「考えたな鮮人は若歌なんか作らねぇもんな」
「480円50銭て言ってみろ!」

関東大震災の最中、病気の妻を大八車に乗せ医療施設を求めて彷徨う和歌歌人、苑田岳葉はデマを鵜呑みにし猛り狂う"自警団"に尋問される。

本作は別にそういう人種問題をテーマにした社会派映画ではない。太宰治のような韜晦系の歌人、苑田岳葉の破滅的な恋愛と詩作に生きた生涯を描く文芸映画。
つまり、何が言いたいかと言うと今はタブー視されてるが一昔前は事実として認定されていたからこそ、時代背景としてしっかり描かれていたってこと。

4年前に上記のシーンを貼りつけ同じ主旨のことを某X(旧某Twitter)に投稿したら、その時もそれなりバズったんだけど、小池百合子が追悼文を拒否し続けてるもんで毎年9月になると発見され拡散される。
自分としては糾弾するというより、『あまちゃん』での震災時の虐殺を示唆する描写が踏み込んでいると評判になってたけど人種名も出してないし、寧ろ後退してるってことが言いたかっただけなんだけど、政治系のアカウント同士の事実の共有、また敵側の主張を否定するネタに使われ出し、レスバに巻き込まれるハメになったりもしてなかなかシンドイ思いをする、、笑
特に今年は「記録がない」なんて国(松野官房長官)が嘘を言いやがったから大変だった。
賛同してくれる方からの好意的いいね👍️やRtはいいとして朝鮮人虐殺捏造派や朝鮮人は井戸に毒を入れた派の頭のイカれたウヨキチからクソリプを頂戴することになって、改めて本当にこの国は終わってると感じた。
「日本人がデマを鵜呑みして朝鮮人の虐殺なぞしない」とか言ってる連中は凶悪事件の度に「日本人にこんな残虐なことはできない」だの「容疑者は在日に違いない」とか吠えて、デマを鵜呑みどころかおまえら自身がデマの発生源になってるじゃねぇーか。しかも、例の天ぷら屋に漂白剤入りの水を飲まされた被害者が韓国系だと知るやさっそく被害者バッシングと天ぷら屋擁護のオンパレードになるしよ。激しく崩壊したと言われる経済以上にモラルの崩壊っぷりに驚愕する。貧すれば鈍するてやつか?
ちなみにこの事件は被害者に対する店員の冷淡で不誠実な態度からヘイトクライムだと考える。

この国の差別性は関東大震災の頃と何一つ変わってない。いや、さらに酷くなってる。事実と向かい合わず日本人は美徳や民度が高いという嘘(これこそ正真正銘のデマだ)にしがみついてきた結果だ。
そう、俺たちにはまたあの虐殺を繰り返すポテンシャルがある。それが始める空気感に満ち溢れている。
「おまえらと違う」という爪痕を残すだけで精一杯だ。
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