首塔えい

ラバーの首塔えいのレビュー・感想・評価

ラバー(2010年製作の映画)
3.9
突然荒野で意思を持ち動き出した1つのタイヤが
念力で人間の頭を次々と破裂させていく
不条理ホラー…ではなく、
映画という虚構そのものを俯瞰する
超ナンセンスなメタフィクション。
やたら酷評が多いけど、
映像のリズムも撮影もしっかりしていて
面白いアイデアの作品。

ちなみにフランス映画。
この時点で純粋なB級ホラーを想像してると
痛い目に遭うと分かるというもの。
作中でも映画の登場人物とその観客
というポジションがハッキリ明示されており、
シュールなやり取りがじわじわくる。
何なら主題のタイヤよりおっさん達の出番多いけど
そこも飛ばしたくはならず、ちゃんと面白い。

「これから起きる描写に特に意味はない」等と
何度も念押ししながらも、
荒野で目覚めたタイヤが
自身の力と欲求を自覚していく過程だとか、
タイヤが自我を持ってるように見える動かし方だとか
ムダにしっかりしてるのが笑える。
意図してクソ映画ぽく見せてる感じもあり、
これが鼻につくという方も居るのは分かるが、
これ自体は決してクソ映画なんかではない。
ラストシーンも挑戦的でよい。
首塔えい

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