突然荒野で意思を持ち動き出した1つのタイヤが
念力で人間の頭を次々と破裂させていく
不条理ホラー…ではなく、
映画という虚構そのものを俯瞰する
超ナンセンスなメタフィクション。
やたら酷評が多いけど、
映像のリズムも撮影もしっかりしていて
面白いアイデアの作品。
ちなみにフランス映画。
この時点で純粋なB級ホラーを想像してると
痛い目に遭うと分かるというもの。
作中でも映画の登場人物とその観客
というポジションがハッキリ明示されており、
シュールなやり取りがじわじわくる。
何なら主題のタイヤよりおっさん達の出番多いけど
そこも飛ばしたくはならず、ちゃんと面白い。
「これから起きる描写に特に意味はない」等と
何度も念押ししながらも、
荒野で目覚めたタイヤが
自身の力と欲求を自覚していく過程だとか、
タイヤが自我を持ってるように見える動かし方だとか
ムダにしっかりしてるのが笑える。
意図してクソ映画ぽく見せてる感じもあり、
これが鼻につくという方も居るのは分かるが、
これ自体は決してクソ映画なんかではない。
ラストシーンも挑戦的でよい。