赤足

ジャンプの赤足のレビュー・感想・評価

ジャンプ(2003年製作の映画)
3.5
映画「ミッドナイト・バス」が思いのほか、良かったのもあり!監督と出演者(原田泰造)が同じという事で、レンタルになかったので思わず購入して鑑賞してみた。

ある夜、南雲みはるは、酩酊した恋人、三谷を自分のマンションに残したまま、朝食のリンゴを買いに出かけた。「5分で戻る」と笑顔を見せて。しかし、彼女はそのまま、消えてしまった。三谷は僅かな手掛かりをもとに行方を探し始めた。

一件、ミステリー作品なのかと思いきや本筋は"if(もしも)"を題材にした。過去に思いを巡らせながら、疾走した彼女の行方と消えた理由を徐々に紐解いていく内容であった。

ストーリーは淡々としていて、あまり派手さはないがどこか惹かれる魅力を感じさせられ、後に作られる「ミッドナイト・バス」と通じる空気も感じ取れた。1人の男と、対象的な2人の登場人物達が対となり織り成す三重奏の人間ドラマは丁寧に作られており、物語の随所に"if"が散りばめられ「あのとき、ああしていれば」「あのとき、あんなことをしなければ」「今の現実は違うものだっただろう」っと全体を構築しており、なかなか見事であった。ラストに真相は明かされるのだが、今が幸せなら、過去に何があったとしても幸せなのか?というような、ずっと知りたかった真実が果たして正解だったのか?もしくは不正解だったのか?の"if"に真意を問われるように感慨深く、少し後味の悪いラストだったようにも思えた。

見終わった後は人間誰しもに共通するような過去を振り返り、時に後悔をしたり、昔を懐かしんだり、それでも今という未来を選択した結果があるような、様々なことを考えさせてくれるような作品だったと思えた。
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