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肉弾のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

肉弾(1968年製作の映画)
3.3
岡本喜八監督は、東宝の創立35周年記念の大作「日本のいちばん長い日」(1967)が東宝の方針で自由に作れなかったことが不満だったため、今度は私財を投入して、同じく反戦をテーマに本作を発表。
敗戦当時21歳だった岡本監督が、庶民の立場から痛烈な皮肉とブラックな笑いを込めて軽妙に描いた彼の代表作。
印象的な音楽は、佐藤勝。
モノクロ。
(1968、1時間56分)

昭和20年夏、広島に原爆が落とされ、ソ連も参戦し日本の敗北が決定的になる中、家畜同然の扱いを受けていた特別甲種幹部候補生の「あいつ」(寺田農)は、対戦車地雷で敵戦車に体当たりする「神」=特攻兵に指名される。
1日限りの休日を与えられ、B29の空襲で両腕を失った古本屋のオジイサン( 笠智衆)のオシッコを手伝ったり、戦死した両親の後を継いで女郎屋を経営している女学生「うさぎ」(大谷直子)に恋したりする…。
外にも何人かの人たちと出会い、1日で死を賭けて守る人々(祖国)ができた、と思う。
出征当日、突然作戦が変更になり、「あいつ」は魚雷を脇に括り付けた特攻ドラム缶に乗り込む…。

"尿処理船"

それから20年余、海水浴場…。

~他の登場人物~
・父 (天本英世)
・学校長閣下( 今福正雄)
・古本屋のオバアサン(北林谷栄):観音様
・前掛のオバサン( 春川ますみ):女郎
・教師(園田裕久):少年(兄)を殴る。
・軍曹 ( 小沢昭一):不法に食料を得ている。
・軍曹のカミサン( 菅井きん)
・モンペのオバサン( 三戸部スエ):上陸してくると噂される米兵に怯える。
・少年・兄 ( 頭師佳孝)と弟 (雷門ケン坊)
・区隊長(田中邦衛):暴力を振るう。
・憲兵(中谷一郎)
・ひげの下士官 ( 高橋悦史)
・オワイ(尿処理)船の船長 ( 伊藤雄之助)

・ナレーター (仲代達矢)

「日本人の平均寿命
      昭20.  男 46.9  女49.6
      昭43.  男 68.5  女72.3
                   ー46.9
                     =21.6
戦争のあるなしで、こうも人間の寿命が違うものかねえ。
試しに引き算してみるか?
…あいつはあの時21歳と6か月だった」

「そんな。日本よい国強い国だベ。世界に一つの神の国だベ」

岡本監督の意向に反して、私は重厚な「日本のいちばん長い日」の方を推す。
戦争を知らない世代がほとんどを占めるようになった日本。
再び戦火の悲劇にさらされないようにするためには、世界情勢をよくみて、政府の動きを監視、規制しないと危険だと思う。
政治に無関心で選挙に行かない人が増えているが、そのことは多数派に投票(賛成)していることと同じである…。
まずは、学校で習わない"現代史"について、知る努力をしたいですね。
(私は政治(家)には近づきたくないタイプで、支持政党当然ありません。念のため)
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