ダイナ

タンポポのダイナのネタバレレビュー・内容・結末

タンポポ(1985年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

ラーメンウエスタンってなんぞ?と興味津々に鑑賞。本筋に絡んだり絡まなかったりの複数の食のエピソードで構成される自由な内容が面白いです。ただ性欲と食欲は分けたい心情としては役所広司演じる白服パートが辛い。白服が主人公のハードボイルドが主軸であれば、黄身の口移しやら牡蠣の啜りやら官能的な描写も食通ギャングの性癖として飲み込めるんですが、本筋がさびれたラーメン屋をトラックの運ちゃんが指導して立て直すというグルメサクセスストーリーで、他のエピソードでラーメンお作法であったり、朝飯・オムライス・焼肉であったりいろんな料理が出て食欲を刺激してくる内容の中では、白服パートがノイズのように感じてしまいました。最序盤の映画館の叱責はカッコよかったけどそれ以降はあまり…。

またこれも個人的な感覚なんですが、ラストで店がリフォームして白一色の明るい店内になったのも、「コレジャナイ」感。オシャレなランチ出すなら分かるんですがラーメン屋なら前の店内の方が良かったなあと。清潔感向上とカウンターだけ見直しで良かったじゃあないか。ラーメン屋経営でスープを1から考える(しかも他店の調理法を丸パクりしようとする)って、夫が回したラーメン屋を続ける事にこだわる姿勢にしてはなんだか。

ラストは母乳で締めるというのが人類の最初の食事という話はなるほどと溜息。サブエピソードが美味しそ〜だけじゃなく、食事・食べ物に関しての品性ばらつきのある内容は喉に小骨が刺さるような感覚。スッキリとしないサブエピソードが本作を一癖も二癖もある味わいに仕上げています。食と性を色んな角度から捉えてまとめ上げた点、不思議な余韻を残す一作でした。
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