ぽち

タンポポのぽちのレビュー・感想・評価

タンポポ(1985年製作の映画)
3.7
何度観てもそのセンスの良さに唸らされる作品。
よくこのアイディアを思いついたといつも感心してしまう。

細かいエピソードを交え、それでいて大筋はしっかりしているので、これだけごった煮状態でもまとまりの良いものになっているのは奇跡的だろう。

食の蘊蓄、ラーメン、西部劇。よくこの題材を一つの作品にしたものだ。

特に「西部劇」ってのはすごい発想。
伊丹監督は「ラーメンウエスタン」と称し「これはアメリカの西部劇の名作『シェーン』(1953年)に、ラーメンを組み合わせた映画なんだ」と言ったそうだが、私にはそれより昭和の混沌無形な日活西部劇に近い気がする。

まぁ、日本の現代でシェーンをやったら、狙わずしても日活的な物になってしまうのだろう。でも、そのチープさが実に楽しいし、ベタなギャグが気持ちいい。

一作目「お葬式」が大ヒットだったので、今作はそれよりも下回り興行的には大成功とはいかなかったが、個人的にはかなりハマった作品。
伊丹監督の代表作としても異論はないだろう。

観た後にすぐにインスタントラーメンを食べられる準備をして観ると、いっそう満足できる。笑



余談。
日活西部劇。
もう支離滅裂ですごいのだが、今作をたとえば1960年代の小林旭や宍戸錠が演じたら10倍はテンションが上がった気がする。

日活西部劇の匂いがする作品だが、正直に言うとそれよりも江口寿史の漫画「進めパイレーツ」の中でたびたび日活西部劇をパロっているのだが、その感覚ととても近かった。

伊丹監督もシェーンなどと言っているが、そこら辺をおちょくって今作のようなカラーとなったのでは?と想像してしまった。
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