雨虎

ドラえもん のび太の日本誕生の雨虎のネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

この作品は幼い頃に考えた事や経験した事が数多く盛り込まれている。
例えば、この作品のコンセプトでもある家出。嫌なことがあると家出をした経験がある人はそういう事もしたなと思ったのではないだろうか。他には「ここからここまでぼくの土地」と線を引きながらの宣言もやったことがあるし、なにかやる人のことを何とか大臣などと称したりもした。
また、作中では自分たちで基地を作り、そこで生活をするというのも住んでいた場所によってはやった人も、できなかったが夢見た人もいるのではないだろうか。そういう幼い頃の内容が数多く盛り込まれた楽しい作品だ。

内容は純粋な勧善懲悪で、他の作品に比べるとギャグも多い。
例えば、人がいない時代まで行こうという事になり、どのぐらい前かという話があった時、スネ夫の「3万年ぐらい前にはもう人間がいたらしい」と考古学の知識を披露するあたりは流石である。一方、それを聞いたのび太はと言うと声高らかに「じゃあ3万1年前に行こう!」と宣言するのは大人になった後で聞いた時には大笑いした。しかも、「もっと前からいたかも」という指摘に対しては「3万2年前に」という追撃にもやられてしまった。

とは言え、ヒカリ族が奴隷として連行されている際はドラゾンビという敵であるギガゾンビのもじって戦うというギャグもありつつも、真面目に戦っている。そういうメリハリがしっかりしている方だと思う。

クラヤミ族を統率している人物がギガゾンビというシャーマンと言われていたが、実際には未来人だったというオチもなかなか秀逸だと思う。言ってしまえば科学力の差によって簡単に打ち勝つことができそうな時代なだけに一気に危機感が生まれた。
そして、その解決にはタイムパトロールの到着による結末。前作のドラミによる救助もそうであるが、やや神の登場的な解決方法ではある。しかし、これはあくまでも子供が主人公の子供向け映画だ。幼い子が犯罪者に対して自分の力だけで対抗できるという方が危険であるし、ある意味では現実味がないと考えると、いくつかの作品でタイムパトロールによる解決も納得がいくようになった。

のび太がペット大臣として育てたペガ、グリ、ドラコの存在も可愛らしい。もしかしたら、彼らを見たヒカリ族やクラヤミ族らが口伝などで伝説として伝えられるようになった結果が我々で言うペガサス、グリフォン、龍という存在なのかもと空想もできて楽しい。実際、龍に関しては中国で新石器時代には考えられていたため一応の矛盾はないはずだ。
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