せいか

処刑山 -デッド・スノウ-のせいかのネタバレレビュー・内容・結末

処刑山 -デッド・スノウ-(2007年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

(自分用雑記感想)

続編が観たいので再視聴した。


「君らのような 遊んでばかりの若造は 地元の歴史など 勉強していないだろう」

医学生の若い男女が、冬の山奥のコテージに遊びに行って痛い目に遭う王道設定。彼らが遊びほうけていると地元の人と思しき初老の男性が山奥まで訪ねてきて、軽率な彼らを嫌悪しながらも窘める。が、そんなことで引き下がってはホラー映画にならないので、彼らはそのままこの建物に残る。
   → 男性曰く、かつてこの地は海運の要塞として目を付けられてナチスに支配されていたが、彼らは地元住民に対して圧政を強い、悪逆非道の限りをつくしていたという。そして敗戦濃厚となるや街中の金目のものを寄せ集めて行こうとしたが、耐えかねた街の人々からの逆襲に遭い、この山に逃げたのだという。そのあとは彼らは凍死したのだろうと語るが、そんな彼らを目覚めさせるんじゃないぞとも注意を添えた。
そんでそいつらに襲われるのだが(最初に襲われるのは、注意をして近くでキャンプしていた初老男性もしくは別行動で山小屋に向かっていた友人女性)、特にスイッチなどもなく、彼らはやってくる。山小屋を根城にしているわけでもないのになぜか床下に宝物箱があったりするのも謎である(これを開けるのがかれらの活動に関与するわけでもない)。50年間ほどずっとゾンビとして山中を彷徨っていたとしたら、山小屋が(と言っても、この山小屋だけだが)建てられては管理されてる意味も分からない。そういう細かいことはいいのだろうが。初老男性もなぜわざわざこの山でひとりでキャンプしていたのかも不明。

本作はやたら腸描写があり、ロープのように崖から吊す男二人を支えたりもする点が特徴的である(10年ぶりくらいに再視聴に至ったところ、記憶にあるよりも内臓祭していなかったので、自分の記憶力にいささかショックを覚えている)。
まだ、ゾンビとして若者たちを襲うナチスゾンビは賢く、規律のとれた行動で殺しにかかってくるのも特徴的である。平和呆けした学生相手なら(男性陣は軍隊に所属していたようだが、そうした立ち居振る舞いができていた人物は少ない)もっと賢く立ち回れそうなものだなあと今回の再視聴の折りにはなんとなくそう思ってしまいもしたが、そういうガチガチさを求めて観るものではないのだろう。

本編は、深刻な場面とコメディが入り混じり立ち替わり現れるので、気楽に観るのに向いている。グロ描写も多いので(内臓で遊ぶ位なので)、そこが苦手でさえなければサクッと観れるだろう。
登場人物たちは格闘もするが、ボットン便所に落ちたり、火炎瓶を誤って自分たちが立てこもっている建物内に投げたり、混乱して妙ちきりんな行動を取ったりと、概ね間抜けである。さっさと逃げ出せるときに逃げ出さないのもお約束というかなんというか。
仮にも医学生なので、自分で応急手当もする。かみちぎられた首の傷を手近な道具で縫いもする。スノーモービルを乗り回して戦いに行く姿はかっこういい(さっさと麓に行けであるが)。銃を撃てば百発百中でもあるんである。
武器を振り回し、銃を乱射しらスノーモービルさえ武器にしてミンチ肉にしてやり返すシーンはなかなかである。
同じように、ナチスゾンビたちが一気にナイフを突き刺し、抱え上げ、五体を引き裂くシーンもなかなかである。
腕を噛まれてうろたえ(ユダヤ人の孫を仲間にしたがるかよと引き止めるやり取りも面白い)、思い切ってサクッと腕を自分で切り落として焼いて傷口を処理し、次の瞬間には股間に噛みつかれる。このあたりのテンポの良さはなかなか一見の価値がある。

残るは指揮官ゾンビのみかと思いきや、彼の「蘇れ!」の一言で、雪の下からわらわらとナチスゾンビたちが這い出てくる。生き残りの二人の男たちがきびすを返して逃げ出せば、これらがまたわらわらと群を成して追いかけてくる。

すったもんだあって生き残った一人が彼らに宝物箱を渡してそうして動きを止めている間に山を降りてなんとか車にたどり着くが、宝物の中から抜き取っていたコインが転がり出たところでバッドエンドとなり、車窓の向こうに現れたナチスゾンビが拳を固めたところで物語は終わる。


テンポの良さ、程よいグロ、ゾンビたちの賢さ、戦闘シーンの良さなど、本作は面白い点も多い。中身はまあほとんどないようなものだが、それもまた王道なりというところである。
ナチスをゾンビにした発想はすごいと思う。なんか良いふうにまとめれば、戦後数十年を経て平和に慣れて怠惰になった現代人たちへ一矢報いるところもあったのではないかと思う。人々は土地の過去に興味が薄く、瞬間的な快楽を求めてこれを消費する。そこに過去の亡霊として悪役にしやすくもあるナチスたちが(文字通り)ゾンビとなって再来するのである。


襲われ始めてまもなく、海に行けば良かった!と叫ぶシーンがあるが、それもまたシュレディンガーの猫だけども、せやな……としみじみと思うばかりである。
せいか

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