三樹夫

サンゲリアの三樹夫のレビュー・感想・評価

サンゲリア(1979年製作の映画)
4.0
おそらくヴードゥーの呪術により死者がゾンビになって蘇り阿鼻叫喚というイタリアンゾンビ映画。エロとグロで積極的にエクスプロイテーションしていく潔い姿勢、訳の分からなさとハッタリで構成されたグルーヴ感の90分。原題は元々はZombi 2だが、ZOMBIEのタイトルも使用されている。

ゾンビの腐を強調した作品で、粘土による特殊メイクでゲロゲログチョグチョの見た目のゾンビと腐敗感を高め、さらにミミズや蛆を貼り付けることでさらに腐った感じを高める。ハエの飛ぶ効果音が挿入されたり、とにかく肉が腐ったという感覚を醸し出している。何年も前に土葬済の死体でさえもしっかり肉が残っているなど、リアリティよりはハッタリと気持ち悪さに全振りしており映画的には大正解だ。

スーザンのそんなわけないスケスケのシャツ、そんなわけない恰好のスキューバダイビング、ヘニャヘニャの『ジョーズ』、ゾンビVSサメと訳の分からなさのつるべ打ちに、目に木片がぶっ刺さるドでかいハッタリ、そして異常に主張の強いシンセサイザーBGMがひっきりなしに流れ、異様なものを観ていることは認識できるがそれ以外は思考がストップする。終盤になるとそんなわけない展開の連続で登場人物がカカシみたいに次々噛み千切られていく血の気の多いゴアと、見世物小屋的ないかがわしい雰囲気が漂っている。

ニューヨークのブルックリンブリッジを大量のゾンビが蠢くという印象的なシーンでも、下の道路では何事もなかったかのように車がバンバン通っているなど、ゲロゲログチョグチョゾンビ大暴れの映画だが結構牧歌的な雰囲気もある。まあ単純に車止め大変だしね。平成ゴジラでもゴジラが街中に現れたってシーンは大体奥の方で普通に車が走ってるし。
人間がゾンビに襲われる流れがそうはならんやろとアバウトな流れで噛まれていたが、フルチの他の映画を観てもそういった流れはアバウトなので(『ビヨンド』でおばちゃんの顔に硫酸がかかる流れとか)、フルチの焦点はいかに人体が破損するかということにあるのだろう。しかし人体が破損シーンにおいては、人体が破損していく様を1から10までしっかり見せてくれるので満足度が高い。またグロアイディアも豊富で、『墓地裏の家』ではナイフをどてっ腹にぶっ刺したら味噌みたいな色した血肉片と蛆がボトボト落ちてきて最高だったし、今作のように顔にミミズや蛆を貼り付けたり、観てて気持ち悪くするアイディアが冴えているのが良い。
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