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サンゲリアのたべものがかりのレビュー・感想・評価

サンゲリア(1979年製作の映画)
5.0
ルチオ・フルチさんの作品ですが、中でもこのサンゲリアは大のお気に入りです。フルチさんのわりにストーリーが順序だててるんですね。そこがまずすごい。
ロメロ作品の「ゾンビ」に触発されて作ったそうですが、ゾンビの質というんでしょうか、そのあたりは全く異なりますね。もちろんこれはいい意味でです。
ロメロ氏のゾンビは彼自身もおっしゃってたので、腐った足で歩けるのか、など単純な物理的な問題をリアルに再現したかったそうです。
ではフルチさんはというと、数十年も前の戦没者が墓から蘇ってきたりで、当然骸骨なはずなんですけどね。そんな小さなこと気にするな、っていうのがフルチさんです。

でもね私が見てた頃は小学生の5年生くらいなんよ。その時にその違いをわかれっていうのは酷じゃろて。血が飛び散る、内臓引き釣り出されるシーンを見て、子供心に歓喜をあげてみてました。でも正直一人で夜道を歩けなくなりました。。。。

ときが移り変わって、20年後。ゾンビ映画で何が一番怖いかの怖がり比べが巷で話されていました。なんとサンゲリアは入っていませんでした。ちなみに一位は悪魔の墓場でした。
いや~確かに悪魔の墓場は、心底怖かったです。幼い私がトラウマにすらなったぐらいですから。近くに廃病院となったところがあって、遊び場になってた。しかし夜になると一転してまさに悪魔の墓場に出てきそうな雰囲気だ。夜は絶対そこを通りませんでした。

ちょっと話はそれちゃったけど、サンゲリアは面白いということですね。フルチさんの作品なのでつっか見どころ満載なんですが、でも比較的このサンゲリアにはあまりないかな。サンゲリア2で「デス・ワン」というゾンビウィルスを発見してます。がマトゥール島での実験は顕微鏡でしたね。顕微鏡ではウィルスは発見できません。つまりこの段階では病原菌が原因を考えられていたんですね。

ストーリー展開よりも、実はフルチさんは、心理的に嫌なシーンを撮りたがる方なんですね。木の杭で目が突き刺さるシーンがあります。でもこれは伏線が、伏線が睡眠薬を飲んだ後なんですね。そんなの飲んだから、力はいらず目に突き刺さっちゃうよ、という視聴し心理を掌握していました。そういうところまで考えているんですよ彼は。

そんなこんなで仲間を失いつつも、クルーザーに乗って脱出には成功し、マンハッタンへ戻るのだが、そのマンハッタンでは生きた屍が橋を覆っているシーンでおしまい。

ストーリー的は全く無駄がありませんでした。無駄な装飾もありません。
はっきり言うね。現代の人がフルチさんの作品をみて、まともに理解を示してみることが出来るのは、このサンゲリアだけです。断言します。

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