カラン

サンゲリアのカランのレビュー・感想・評価

サンゲリア(1979年製作の映画)
5.0
カリブ海の小島からの無人のヨットがニューヨーク港に漂着し、巡視艇が近づき2人の警官が調べると、ゾンビに襲われる。1人が発砲すると海に落ちて、いったん沈静化。ヨットの持ち主の娘と、事件の臭いを嗅ぎつけた記者がカリブ海に向かう。



いやー、感動した。あほくさいところも多数ある。しかし、押し切ってきた。



☆モンタージュ

医者の家に行くと、ゾンビが嫁の死骸を皆んなで食べている。奥さーん、いないですか〜って入ってきた4人をゾンビたちがいる室内から撮っており、ラタンの間仕切りから顔を出した瞬間、4人の驚愕の顔をニーショットくらいで下から撮る。4人は驚いた顔で目線は部屋の奥の下の方を向いている。で、カットバックして、死体を食うゾンビのバストショットから少し引いて、他にもゾンビたちがいるのを軽いパンで示す。

このシークエンスはどうしてもやりたいなら、客観的な時間の流れではないことを示すためにスロモーションにすべきでしょう。だって部屋入ってゾンビたちがいて、そんなにまじまじとゆっくり突っ立って見てないでしょう。普通は逃げるが、案の定、他のゾンビたちが集まってきて、部屋の中に入ってきちゃう。で、また、きゃーって。

この種の早く逃げるか、蛇に睨まれた蛙状態かでしかない状態で、この映画はカットバックからゾンビたちをゆっくりと映す。ばかばかしいのは分かっているのだが、執念を燃やしただろう至高のゾンビメイクを見ていると、すげーっと感心してしまう。

船に乗せてくれたカップルの嫁さんが、森の墓地で地面から蘇ったゾンビに襲われるところは、蛇に睨まれた蛙状態で硬直してる。そこで嫁さんとゾンビのカットバックをクロースアップでやるのはいいよ。硬直してるうちはね。いつまで硬直してるのかな〜と観てると、やっぱり、嫁さん悲鳴をあげるときはきりっと口を動かす。そのカットバックやるならば女優さんに最後までかたかた硬直しておれ、悲鳴は声にならない感じで、きゃーって鋭くやったらあきまへんえって、動けない感じでにじり寄るモンタージュ作るんだからねって指導しないと。そう思うのだが、もう土から蘇ったゾンビなんて、ミミズが眼窩でにゅるにゅるしてたりして、至高だなと、やっぱり感心してしまう。


☆水中アクション

カリブ海の沖にでて、海に入る馬鹿はいないのだろうが、やっぱりサメが。どうやったのか知らないが、普通に生きているサメとアクションで絡む。かなり接近してる。それで、サメを逃れようとサンゴやら岩やらに隠れると、ゾンビが!で、海底ゾンビとわちゃわちゃしてるとサメが!ゾンビがサメに噛みついて血まで出させる演出をして、ヒレつかんで攻撃すると逆にゾンビがサメに齧られる。リアルに戦ってる。まじか。

この水中アクションに入る前、嫁さんは服脱いで、乳房をじっくり映し、SMのボンテージみたいにボンベのベルトを股の下から留めるのを注視する。エロ、サメ、ゾンビの三つ巴は、眩暈がしたし、あまりに生々しい撮影で、事故が起こりそうな感じがすごい怖くて、リモコンつかんだ。


☆朝日のように爽やかに

ノスフェラトゥな感じの無人ヨットは素敵すぎる。でかいフェリーを高速で横切らせて、警笛ばんばん。船倉からゾンビがでて、甲板に上がると眩しい。明るい逆光のなか、血濡れたゾンビの後頭部がレンズフレアを抑制して、後光がさしている。素晴らしかったです。橋を渡って来るゾンビの群れという終わり方もいいですね。






4KリマスターのBlu-rayで視聴。いやー、ジャッロに☆5つけるとは、思いもよらなかった。(^^)



追記、このリマスターBlu-rayは、イタリア語と英語の7.1chリミックスと日本語吹き替えが入っている。フルチなのでイタリア語を選択したが、どうも映画の世界に合わない。ニューヨークからカリブの島だからね。おまけに下手だし、アテレコの録音スタジオの空間性がでてしまっており、合っていない。英語にすると、イタリア語よりはましだが、アテレコ感はまだ残る。同録だったらなーと残念な気分になるが、まあ我慢できる。映像見ていると、役者さんたちは英語で演技しているように思える。同録で普通に役者がやれる言語で、その言語を使うことが変でない空間で映画を撮るのは、ドグマに入れないといかんのじゃないかな。イタリア人が1番無視してくる気がするが。
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