もものけ

サンゲリアのもものけのネタバレレビュー・内容・結末

サンゲリア(1979年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

そして、人類は体験したことのない、未曾有の事態へシフトするのねぇ〜……。

ニューヨーク湾内に1隻のクルーザーが漂流してくる。
ニューヨーク市警は、ヨットを調べに乗り込むが、荒れ果てた船内で腐乱した男に襲われ、発砲して海に落とす事件が発生。
船の持ち主の娘アンは、消息不明になった父親を探し始める。
取材を命じられた新聞記者ピーター・ウエストは、娘アンと共に、手紙に書かれていた父親が向かったとされるカリブ海のマトゥール島へと向かうが、そこはいわくつきの呪われた島だった…。


感想。
定期的に鑑賞しております👍

B級ホラー映画で有名なイタリア・ゾンビホラー映画最高傑作であります!!

イタリア・ホラー映画といえば、行き当たりばったりで撮影されたカットを繋ぎ合わせて、シーン展開めちゃくちゃで、エロスとグロ描写だけに重点を置く適当作品が多いので、B級ホラー映画と言われがち。
「サンゲリア」は珍しく構成がしっかり場面設定してあり、めちゃくちゃな編集が見られない作品です。

そして、死亡から腐敗の度合いで、しっかり分けた特殊メイクが素晴らしく、ジャネット・デ・ロッシの技術が冴えわたります。
「墓地裏の家」「ビョンド」などでも、真っ赤な血の美しさと、腐敗にこだわったメイクや、裂ける肉片と見える骨など、芸術的なホラー特殊メイクを表現するアーティストです。
生理的に嫌悪感を催す動物をアクセントに使うなど、イタリア・ホラー映画のVFXを守る、おぞましく悪趣味極まる特殊メイクが、最高の形で見せてくれました!

低予算で発想力をフルに活かし、一度だけ上手く撮影できれば、使い回すことにも抵抗のない潔さで撮影された、リマスター版でも美しさのあるフィルムで送るゾンビパニック。

もちろん、イタリア・ホラー映画といえば、女優のキャスティングが世界一であり、美人でスタイル抜群が無意味に脱いで、そのエロティックさを全面に押し出して死んでゆく王道さも魅力の一つですが、「サンゲリア」でも皆んな美人揃いで、イタリア人の女性への美的センスなのか、イタリア人が美人ばかりなのか、毎回楽しませてくれます。

最も力が入る場面は、ゾンビvsシャークではないでしょうか。
奇想天外な発想の為せる技、驚くべきサメとの格闘シーンを撮影するなど、新しい試みへ敬意を評します!!

ゆっくりと緩慢に攻め寄せるゾンビの群れのように、間延びした演出など、まさにB級ホラー映画!
でも、それを上回る作品の完成度を個人的には感じます。

巨匠ジョージ・A・ロメロ監督がプロットとして確立させた、籠城戦からの崩壊もキチンとオマージュされており、本家より全然と雑であり陳腐ですが、ゾンビ映画のプロットとして盛り上げ何処を心得ております。

そして世界の崩壊へ向けるバッドエンディングの締め方も、ゾンビ映画ファンとしてはワクワクさせるラストーシーンで、日常生活として車が走り抜けるブリッジの上から、迫りくるようにゾンビの群れが、ゆっくりと街を目指して進む様子は、次第に迫る危機に気付かない日常との境がゆっくりと崩壊していく演出として、最高の名シーンであります!!
確かに撮影許可が下りずに、無理やり橋の上でエキストラを歩かせただけかも知れません、知れませんが、敢えて演出だと言いたい!!だって大好きだから(笑)

ツッコミ何処満載?だってB級ホラー映画だから(笑)

ヒューマニズムのドラマ性などクソくらえで、グロ描写とエロスが創りたいだけにアクセル全開なイタリア・ホラー映画の愛すべきイタリア・ゾンビ映画最高傑作に、5点を付けさせていただきました!!
もものけ

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