三隅炎雄

夜の牝 花のいのちの三隅炎雄のレビュー・感想・評価

夜の牝 花のいのち(1969年製作の映画)
3.8
監督が西河克己から森永健次郎に変わったシリーズ3作目。ヤクザの組長の娘が都会に出てホステスになる『緋牡丹博徒』ふう設定は前2作と同じ。ただしこちらはパロディ色を大きく打ち出し、歌謡映画の器に盛ったそれ全体がホステスもののパロディ化、『緋牡丹博徒』に加えて同時期の東映異常性愛路線までが筋に流れ込んで、何とも奇っ怪なシロモノに仕上がっている。女心にむせび泣く森進一の歌はここでは最早悪い冗談にしか聞こえない。
持ち前の奇妙なカメラワークと編集を挿し込みながら、スピーディーにドライに森永演出は快調。いかがわしい『賭場の牝猫』が形を変えてここに返り咲いたとも言える快作に仕上がった。

愉快な映画だが、流石にこんなオフザケは勘弁してくれと森進一サイドは面白くなかったかもしれない。歌うホステスに平山みき。石井映画から流れて来たみたいな南原宏治が期待通りの怪演であった。
三隅炎雄

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