菩薩

風の中の子供の菩薩のレビュー・感想・評価

風の中の子供(1937年製作の映画)
4.2
放任主義の父親の元で育ったであろう兄弟は実に自由闊達に動き回る、ちっとばかし勉強が出来なくたってなんのその、子供はやはりこうでなくちゃと動き回る。ターザンの呼び声で集まり、ふんどし一丁で川へ飛び込み、するりするりと樹によじ登り、前畑頑張れとばかりに布団の上で水泳大会が始まる、確かにこんな風に生きていたんだろうなと思える描写が楽しい。だが父親が私文書偽造容疑でしょっ引かれて以降は風向きが怪しくなる。家族は散り散りとなり、弟は母の元すら離れざるを得ぬが、そのやんちゃさは変わらず預かり先の手を煩わす。遂には家に帰され久しぶりに兄と顔を合わせるも、互いになんだよなんだよと牽制し終いには取っ組み合いを始める、寂しさの蓋が空いたかの様な場面に素直に泣く。その後も母を支えるべく健気さを発揮し続ける兄弟、ようやく父の嫌疑も晴れ再び取られる相撲、堰を切ったように泣き出す弟に貰い泣きするも、前よりも逞しさを見せる2人に子供の成長の早さを痛感させられる。風の中にこそ育つ子供、逆風なれば尚の事か。
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