ポンコツ娘萌え萌え同盟

港祭りに来た男のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

港祭りに来た男(1961年製作の映画)
3.9
ずっと見たかった映画。
(草鞋の方の)七夕の民話を内容に混ぜつつ、99足(千足じゃないんか・・・)の草鞋ならぬ、99の人を斬り99本もの傷を持つ豪傑な侍・大力大五郎の悲劇を、叙情的に描かれる男と女の気持ちのすれ違いと恋と共に描いた作品。

ただその傷の偉業は草鞋を作って天へと昇るものではなく、呪いである。
その傷で天女を取り戻そうとしても、だが一度でも侍になってしまえば呪いは地獄に落ちるための運命の如くに付きまとう。
何よりもその呪いに魅了されて、明らかな罠である条件さえ揃えばあっけなくその道を選択してしまうのは我々からすれば哀れだし、お夕さん的にも求めてない結果だが、彼のアイデンティティにとってはまさしく理想なのだ。
彼は運命以上に彼自身の心に敗北したのだ。
悲劇であり、強烈なインパクトをラストに残して、啞然としてしまった。
だが大五郎自身は本作のラストにある意味不満はないのかもしれない。

ただ監督がマキノ雅弘らしく娯楽性は本作もしっかりとある。
舞台が七夕祭りなのもあって、活気あり。本作にたびたび映る踊りもあり、他にも途中にある大道芸とかが楽しい。そして何よりも時代劇に殺陣。中盤の殿様の前でのお立合いで、相手の刀を奪って反撃すところなんか大五郎のキャラ性が溢れていていいけど、
ただラストの一対多の姿は凄まじさより呪縛めいた恐ろしさを感じた。