風ノ助

シャンドライの恋の風ノ助のレビュー・感想・評価

シャンドライの恋(1998年製作の映画)
4.0
シャイで無口な英国人ピアニストのキンスキーは彼のお屋敷に住み込みで働くことになったアフリカ人女性シャンドライに恋をする
でも彼女は反政府活動で逮捕され拘束されている夫の帰りを待つ身だった

キンスキーの彼女への距離の詰め方が不器用すぎて最初の方はちょっとコワイです
でもシャンドライのための密かな行いがわかってくると一気に彼のことが愛おしくなります

セリフが少なくてぶつ切れの映像がくるくると展開していきます
夢の中にいるような可愛らしさとエロスの両方の要素でくすぐられるおとぎ話みたいな映画でした

お屋敷の螺旋階段がすごく素敵で二人の心情を表すのに効果的に使われていました
クローゼットがわりのリフトや吊るされるピアノなど芸術的な映像が本当に美しい

なかなか交わることのない二人を言葉の代わりに音楽で象徴的に表していて、キンスキーの奏でるクラシックもシャンドライが聴くアフリカンポップスもそれぞれとても心地よいのだけど二つが融合された時がこの映画のハイライト

最後にドアベルの音で現実に戻される
まどろみの中で見る夢のような時間が終わってしまう切なさがありました
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