ベルナルド・ベルトルッチ、1998年。
多分公開時に観た。でも何回観たって良いのだ。
アフリカの民族楽器の音で始まる冒頭。たまらない。
シャンドライの鼓動。
尺の短さも含めて、全てが完璧。
あちらを失えばこちらを得て、こちらを得ればあちらを失う。
そんな不思議な均衡が、音と人の感情で描かれる。
恋ではあるのだけど、最初から最後まで自律的な何かで満たされている。名付けて自律映画。(そのまま)
*
大きな螺旋階段と豪奢なインテリアで飾られた、叔母の遺産であるローマのアパートでひっそりと暮らすイギリス人ピアニスト、キンスキー(デヴィッド・シューリス)。「僕は人前では弾かない」何故ソロ・コンサートをしないのかと問われ、そう答える。ベルトルッチらしい異邦人。実はサッカーが好き。
シャンドライ役はタンディ・ニュートン。次作は『M:i-2』のヒロインだ。
こちらはアフリカからの異邦人。
あと古いスタンウェイを、あんなの取っ手を付ければ手押し車と同じ、と買い叩くイタリア人のおじさん。