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処刑の丘のhasseのレビュー・感想・評価

処刑の丘(1976年製作の映画)
4.3
演出4
演技4
脚本4
撮影5
音楽5
技術4
好み4
インスピレーション4

今以上に女性映画監督の活躍が難しかった1976年という年代に、ラリーサ・シェピチコという女性監督が戦争をテーマに映画を撮り、ベルリン国際映画祭で金熊賞に輝くという奇跡のような素晴らしい出来事ことが起こっている。そしてしかし彼女は数年後に事故死してしまう……。

ドイツ軍に追い詰められた二人のパルチザンは、負傷した一人は死を受け入れ、もう一人は仲間を裏切り生にしがみつく。生き残った方は、逃亡を考えるが断念し、絶望のあまりトイレで首吊り自殺を図るがあえなく失敗し、雄叫びを上げる。なんとも情けない醜態だが、同時に人間味を感じさせる。逆にもう一人はドイツ軍に狙撃され負傷した時点で自分の運命を受け入れたがごとく、その表情は悟りを開いたかのように無表情で、「死んでいる」。
どうしても彼のほうが潔く、芯の通った選択をしたように見えてしまうのだが(特に日本人の美意識では)、裏切ったほうの生にしがみつくという選択も愛そうではないか、と思いたくなる。

クライマックスの、五人が坂道の向こうからゆっくり姿を現し、ショットが切り替わって処刑台、というシーンがいい。
裏切ったほうの男の妄想ショットや、音楽の使い方など、新鮮な演出もよい。

しかし一面雪景色映画は名作が多い気がするが気のせいか?『ファーゴ』『殺しが静かにやってくる』『ヘイトフル・エイト』などなど。どっかのミニシアターで雪景色映画祭やらんかな。雪の演出とか比較して見てみたい。
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